山東省、高齢者産業の規範化の法制度整備が進行

(中国)

青島発

2021年08月19日

中国で最多の高齢者人口を抱える山東省で、高齢者介護サービスに関する計画や介護施設確保など規範化のための法整備が急ピッチで進んでいる。

同省民政庁は8月5日、都市部で新設する住宅団地の社区の高齢者介護施設の計画・建設・引き渡し・使用に係る管理弁法の草案を発表し、都市部で新設する住宅団地には住宅100戸当たり20平方メートル以上の高齢者介護施設の設置を義務付ける方針を示した。介護施設は新設する団地と同時に建設、使用できることを求めている。

また、弁法草案には、自然資源部が団地建設のための国有地使用権引き渡し方案を立案する際、併設する社区の高齢者介護施設の建設規模や設計標準などの建設条件を含めることも明記した。介護施設は、国が定めた設計・建設標準に従い、建物の低層に設け、バリアフリー設備の拡充することなども求められる。建設した団地の竣工(しゅんこう)・検収に当たっては、併設する介護施設も検収の対象に入り、不合格の場合、プロジェクト全体が認可されない。検収後、施工会社は建設した介護施設部分について無償で民生部門に引き渡すことが求められる。

山東省政府は「高齢者介護サービスシステムに関する第14次5カ年規画」を発表し、2025年までに「医療と介護が結びついた多層的な高齢者サービスシステムを整える」との目標を示した。同規画では期間中に、全省都市部と農村部ともに長期介護保険を導入することや、都市部の団地の高齢者介護施設併設達成率を100%とすること、省内の施設で介護用ベッドを4万5,000床以上新設すること、医療施設を設けていない高齢者介護施設が周辺の医療機関と協力関係を築き、高齢者施設における「医養結合」(医療・介護の連結)サービスのカバー率を100%とすることなどを掲げる。

ジェトロは山東省で、高齢者産業の関連展示会でのジャパンパビリオン設置(2021年6月10日記事参照)や、省内各地で日中間の高齢者産業のビジネス促進イベントを展開している。

(董玥涵)

(中国)

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