第2四半期のGDP成長率は前期比4.8%、個人消費が大幅回復

(英国)

ロンドン発

2021年08月17日

英国国家統計局(ONS)の8月12日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、英国の2021年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(第1次速報値)は前期比4.8%となり、マイナス1.6%を記録した前期から大幅なプラス転換となった(添付資料図、表参照)。春からのロックダウン(都市封鎖)の段階的緩和により、ホテル・レストランなどサービス業への支出を中心に、個人消費が大きく回復したことが主な要因。一方で、欧米主要国の中でも特に伸びが大きかった同国だが、2019年第4四半期と比較するとマイナス4.4%で、新型コロナ禍前の水準には戻っていない。

需要項目別にみると、内需を牽引する個人消費(家計最終消費支出)は前期比7.3%増となり、3四半期ぶりに増加に転じた。また、貿易に関しても、EU離脱(ブレグジット)や新型コロナ禍の影響からの回復を反映し、輸出は3.0%増、輸入は6.5%増といずれも堅調に推移した。

産業別にみると、英国経済を牽引するサービス業は前期比5.7%増となった。中でも、流通・ホテル・レストランが21.1%増を記録。特にホテル・レストランは、87.8%増と急激な回復をみせた。また、建設は3.3%増と4四半期連続でプラス成長を続けている。

政府は公共投資の拡大に意欲

リシ・スーナック財務相はこの結果について、「多くの人々の期待以上に、経済が力強く回復していることを示している」としながらも、「(新型コロナ禍により)経済および財政は深刻な影響を受けており、完全な回復にはまだ時間を要する」と発言(「BBC」8月12日)。経済復興支援を優先して引き続き公共投資を拡大していくことをあらためて強調し、緊縮財政への回帰は否定した(「Skyニュース」8月12日)。一方で、金融政策に目を向けると、イングランド銀行(中央銀行)のアンドリュー・ベイリー総裁は8月5日、金融緩和政策の出口戦略を示唆している。資産買入残高を削減する条件である政策金利の利率を1.5%程度から0.5%に変更したことで、より早期の量的緩和縮小の可能性を示した(2021年8月13日記事参照)。

イングランド銀は、8月5日に発表した金融政策報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の中で、2021年のGDP成長率見通しを7.25%とし、同年第4四半期(10~12月)には新型コロナ前の2019年第4四半期の水準に回復すると予想している。

(杉田舞希、尾崎翔太)

(英国)

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