技能人材4,000万人増加へ、「技能中国行動」を発表

(中国)

中国北アジア課

2021年07月13日

中国の人力資源社会保障部は6月30日、「『技能中国行動』実施計画」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

実施計画では、「技能人材」を「中国製造」「中国イノベーション」を支える重要な戦力と位置付け、第14次5カ年規画(2021~2025年)期間中に、国家認定の職業資格を満たした技能人材(注1)の育成強化を図ると定めている(2021年7月12日記事参照)。

同部によると、2020年末時点で中国で技能を有するワーカーが2億人を超え、就業人口の26.8%を占めた。うち高度人材(「職人」「匠」を含む)は5,800万人に達し、技能を有するワーカーの30%を占めている。しかし、国内の技術系ワーカーは依然として不足し、特に高度人材の求人倍率は2.0倍以上の状況が続くなど、人材市場での需給ミスマッチが生じていることから、「技能中国行動」では技能人材の育成を加速し、必要とされる技能人材の確保を目指す。とりわけ高度人材を先行して養成する方針だ。

実施計画では、「技能中国行動」により2025年時点で達成を目指す目標と主な実施内容を以下のとおり定めている。

目標

  • 新たに4,000万人以上の技能人材を養成する。
  • 技能人材が就業人口に占める比率を30%とする。
  • 高度技能人材が技能人材に占める比率は、東部の省で35%へ、中西部で各省の現在の水準から2~3ポイント引き上げる。

主な実施内容

  1. 国家級の高度技能人材研修基地、各地の高度技能人材研修基地などを設置する。
  2. 技術工学校が職業教育や技能評価、就職支援などを担う、技能人材の総合育成拠点となることを支援する。優良な技術工学校を300校、優良な専門学校500校を選出し、技術工教育(連盟)集団によるパイロット事業を100件程度行う。
  3. 「中国の特色ある企業新型見習い制」(注2)として、企業と学校が緊密に連携し、産学一体となって新規採用者などを教育する事業を推進する。1~2年という所定の期限内に「中級工」「高級工」「技師」「高級技師」を主に養成することを目標とし、見習い訓練を行う企業に対し、関連の規定に基づき職業訓練補助金を支給する。
  4. 職業技能等級制度を見直し、国家職業資格制度と結び付け、終身職業技能研修制度に適した内容とする。
  5. 青年が技術を競う第46回技能五輪国際大会(上海大会)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2022年10月に予定)の実施に向け、総合訓練センター(1カ所)、中国研究センター(3カ所)、中国研修センター(1カ所)、中国合宿基地(400カ所)などを設立する。

(注1)技能人材とは、国家認定の職業資格証書あるいは職業技能等級証書の取得者を指す。このうち、高度技能人材とは「高級工」以上のグレードの職業資格あるいは職業技能等級を指している。

(注2)人力資源社会保障部、財政部などは6月22日、「中国の特色ある企業新型見習い制の全面的推進、技能人材の養成強化に関する指導意見」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表している。

(森詩織)

(中国)

ビジネス短信 f4b4114fe1261084