ボルソナーロ大統領が新人事を発表、政権基盤強化と次期大統領選も視野に

(ブラジル)

サンパウロ発

2021年07月29日

ブラジル政府系現地紙「アジェンシア・ブラジル」は7月27日、進歩党(注1)党首のシーロ・ノゲイラ上院議員(注2)が、ジャイール・ボルソナーロ大統領から指名を受け、文官長を引き受けたと報じた。

文官長は、政府と議会、省庁間の調整役を担う重要なポスト。ノゲイラ氏は、国会議員として25年以上の経験がある。また、2021年4月以降、連邦政府の「新型コロナ禍」への各種対応を調査する「上院調査委員会(CPI)」のメンバーも務めている。ボルソナーロ政権は現在、CPIから、政府が相場価格より高値でワクチン購入契約を進めた、などの指摘を受けている。

ボルソナーロ政権が、今後、行政改革や税制改革などを進めるためには、上院との関係改善が不可欠だ。この状況での就任は、議会との関係強化のみならず、ボルソナーロ大統領が2022年10月に実施される大統領選挙を見据えた政権基盤確立への準備、とも捉えられている。

ボルソナーロ大統領は、2021年7月23日付の現地紙「Rádio 92.1 FM マットグロッソ・ド・スル」で「進歩党は次期大統領選挙に向けた(自身の)所属政党になり得る」と述べている。選挙に立候補するためには、ブラジルの憲法に従い、何らかの政党に所属する必要がある。ボルソナーロ大統領は現在どの政党にも所属していないが、進歩党は同大統領が過去に所属した経験がある政党だ。

ボルソナーロ大統領は2021年2月に実施された上下院の議長選挙でも、両議長をセントロンと称される中道右派政党の政党から選出した(2021年2月5日記事参照)。今回も引き続き、中道右派政党からの起用となった。

(注1)進歩党は下院513議席のうち41議席、上院81議席のうち7議席を占める中道右派政党。

(注2)同氏は、北東部のピアウイ州選出議員。

(古木勇生)

(ブラジル)

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