上下両院、ともにボルソナーロ大統領が支援する議長を選出

(ブラジル)

サンパウロ発

2021年02月05日

ブラジル連邦議会の議長選挙が2月1日に行われ、上院議長にロドリゴ・パシェコ氏(DEM:民主党)、下院議長にアルトゥル・リラ氏(PP:進歩党)が選出され、就任した。任期は2年。

今回の議長選は、ジャイール・ボルソナーロ大統領の任期後半の政権運営に影響を及ぼすものとして注目されていたが、結果として、ボルソナーロ大統領が支援を表明していた2人が選ばれた。とりわけ下院では、前議長が大統領罷免決議を示唆するなど、大統領と緊張関係にあったため、今回の結果は、2022年の大統領選挙に向けたボルソナーロ氏の実績確保に、比較的協力的な体制が得られたものとして受け止められている。

議会の優先事項は、現下の新型コロナウイルス対策とそのための財源確保だ。リラ氏は、12月末まで支給されていた貧困層向けの緊急給付金の代替案として、財政赤字の上限枠を維持しながらも、既存の低所得者向け現金給付プログラム「ボルサ・ファミリア」の資金を拡充するかたちで対応する姿勢を示している(2月2日付現地紙「バロール」)。

また、2月2日付の現地紙「グローボ」によると、複雑な税制などいわゆる「ブラジルコスト」への対策となる、ボルソナーロ政権発足時からの公約の行政改革、財政改革などにも優先的に取り組むことも合意しているとされている。

今回の選挙で重要な役割を担ったのは、セントロンと称される中道右派政党のグループで、リラ下院議長はその中心的人物だ。政党に属さず政治的基盤の弱いボルソナーロ大統領が政策を実現するためには上下両院の協力が欠かせず、今後は、大統領とセントロンとの駆け引きが続くとみられる。2月1日付の現地紙「フォーリャ・デ・サンパウロ」によると、「セントロン出身の議員を念頭に置いた内閣改造」が示唆されている。

一方、2月2日付の現地紙「バロール」によると、当地の識者の中でも今回の結果は大統領の弾劾回避には有効だが、「必ずしもボルソナーロ政権の懸案政策実現が保証されたものとは言い切れない」という見方が大勢となっている。

(原宏)

(ブラジル)

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