成長戦略を修正、「韓国版ニューディール2.0」

(韓国)

ソウル発

2021年07月28日

韓国政府は7月14日、「韓国版ニューディール2.0(未来をつくる国)」をテーマに、「第4回韓国版ニューディール戦略会議」を開催し、国家成長戦略「韓国版ニューディール」の追加対策を発表した。「韓国版ニューディール」政策は新型コロナウイルスによる経済危機を克服する政策として、2020年7月14日に発表された(注)(2020年7月17日記事参照)。

今回は、これまでの付随的な課題としていた「雇用・社会安全網(セーフティーネット)」を格差解消や青年支援などの強化による「ヒューマン・ニューディール」として格上げした。そのほか、メタバース(3次元仮想空間)などの新産業育成と、カーボンニュートラルの推進基盤の構築を新規課題として設定した(添付資料表参照)。当該政策の3本柱の主な修正内容は次のとおり。

  1. デジタル化については、メタバースなどのハイパーコネクテッド新産業の育成を新たに追加。
  2. グリーン化では、カーボンニュートラルの推進基盤の構築を新たに課題として盛り込んだ。2030年までの温暖化ガス削減目標の達成に向けて、温暖化ガス測定・評価システムを整備し、産業界の二酸化炭素(CO2)の排出削減体制を構築する。
  3. 人材育成・雇用安定化では、デジタル人材の育成策や弱者層へ支援、若者の生活安定(資産形成や住居安定、教育費軽減など)支援、格差解消(教育や育児など)プログラムを盛り込んだ。

2025年までの総事業費は60兆ウォン(約6兆円、1ウォン=約0.1円)を追加し、計220兆ウォンに拡大した。財源確保のために1,000億ウォン相当の「国民参加型ニューディールファンド」(2020年10月6日記事参照)も追加で立ち上げる。なお、2021年3月に設立した2,000億ウォン規模のファンドは1週間で完売している。

(注)2020年7月に発表した「韓国版ニューディール」は、「デジタルニューディール」と「グリーンニューディール」を両軸とし、安全網(セーフティーネット)の強化策を盛り込んだ。

〔李丙鎬(イ・ビョンホ)〕

(韓国)

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