ドイツ航空エンジン大手のMTU、セルビアにメンテナンス工場を建設

(ドイツ、セルビア)

ミュンヘン発

2021年07月15日

ドイツ航空機エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズ(MTU Aero Engines)は7月5日、セルビアの首都ベオグラードから北西約25キロに位置するノバ・パゾバで、新工場の建設を開始したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日行われた着工式には、セルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領、ドイツ連邦議会議員で、連邦政府の航空宇宙産業コーディネーターを務めるトーマス・ヤルツォムベック氏らが参加した。

新工場は2022年末に稼働の予定で、民間航空機エンジンの修理・メンテナンスなどを行う。同社のセルビアにおける現在の従業員数は約60人。今後数年で約500人まで増加する見込みだという。2020年のMTU全体の売上高は39億7,700万ユーロで、民間航空機メンテナンス部門が売上高の63.4%を占める。同社は、セルビアへの工場新設により、同社のメンテナンスサービスを拡充できるとしている。同社は、中・東欧ではこれまでポーランドに拠点を有している。

ドイツ企業のセルビア進出が増加

セルビアに進出するドイツ企業が増加している。例えば、自動車部品のZFフリードリヒスハーフェンは2019年6月、モーターや変速機などの組み立て工場をベオグラード近郊のパンチェボで稼働させた(2019年6月21日記事参照)。また、自動車部品のブローゼは2020年3月、開発・製造拠点をパンチェボに設立すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。セルビア開発庁によると、このほか、ボッシュ、コンチネンタル、シーメンスなどがセルビアに進出している。

在セルビア・ドイツ商工会議所の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、セルビアには約400社のドイツ企業が拠点を有しており、その従業員数は6万5,000人を超えるという。一方、ドイツ連邦銀行によると、申告義務のある総資産額300万ユーロ以上の企業の直接投資を集計した統計では、2019年末のドイツの対セルビア直接投資残高は22億1,500万ユーロに上り、セルビアのドイツ企業数は110社で4万7,000人の雇用を生み出しているという。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ、セルビア)

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