犠牲祭期間の規制緩和発表も、23日から工場含む全産業停止

(バングラデシュ)

ダッカ発

2021年07月15日

バングラデシュ政府は7月13日、現在講じている厳格な行動規制(2021年7月5日記事2021年7月6日記事参照)の14日からの一時的な緩和(7月23日午前6時まで)に加え、23日午前6時から8月5日までの規制強化を発表した(添付資料参照)。従来の規制において工場の稼働は認められていたものの、7月23日以降は工場についても、閉鎖の対象であることが明記された。今回の措置の主な内容は以下のとおり。

(1)7月14日から23日午前6時まで

  • 犠牲祭(Eid ul-Adha)を迎えるに当たり、ビジネス活動と国民の移動を円滑にするため、現在講じている厳格なロックダウンに伴う全ての措置を緩和する。
  • 一方、同期間においても、全ての者はマスク着用をはじめ感染対策を意識し、継続しなければならない。

(2)7月23日午前6時から8月5日まで

  • 全ての政府系機関、民間の事務所は閉鎖。全ての産業活動および工場の稼働は停止。
  • 全ての公共交通機関(道路、鉄道、水路、国内線フライト)停止。
  • ショッピングモールを含む全ての店舗は閉鎖。
  • 全ての観光地、リゾート地、集会所や娯楽施設などは閉鎖。
  • バングラデシュ銀行は銀行サービスを保証するため必要な指示を行う。
  • 政府系機関の職員は勤務地にとどまり、遠隔(電子メール、SMS、ワッツアップなどのオンラインツール)で業務を行うこととする。
  • 法執行機関や緊急サービス〔農業関連(肥料・種苗・農薬・農業機器など)、穀物・食料品、運輸、救援活動、保健サービス、新型コロナウイルスワクチン接種、電気、水道、ガス、燃料、消防、電話、インターネット、マスメディア、民間警備、郵便、銀行、薬局など必需品を取り扱う事務所などに係る活動〕および、当該サービス・活動に係る従業員の移動は、身分証明書を提示した上で可能。
  • 物資を輸送するためのトラックやバン、貨物列車、貨物船は本規制の対象外。
  • 空港、港湾、河川港、陸上港とこれらに関連する事務所は規制の対象外。
  • 生鮮食料品や生活必需品の販売店舗は、衛生ルールを順守した上で午前9時から午後3時まで営業可能。
  • 緊急時(医薬品や食料・日用品の購入、病院受診、葬儀など)を除き、外出不可。
  • ワクチンカード提示の上、ワクチン接種のための外出は可能。
  • 飲食店は午前8時から午後8時まで、テークアウトまたはデリバリーサービスに限り営業可能。
  • 国際線の運航は継続。搭乗者はチケットを提示の上、移動可能。

中央銀行は同13日、市中銀行に対し、7月19日まで平日は通常どおりの営業時間(午前10時~午後4時)とし、犠牲祭前の週末(16日および17日)は、縫製工場が所在する工業地帯(ダッカ、アシュリア、トンギ、ガジプール、シャバール、バルカ、ナラヤンゴンジ、チョットグラムなど)の支店に限り、労働者への賃金支払いのため営業継続(午前10時~午後2時)とする通達PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を出した。同通達により、7月25日から8月5日までの期間は、午前10時から午後1時30分までの営業とすることも定められた。

また、航空局は、7月15日午前0時1分から7月23日午前6時までの期間、国内線の運航を可能とする通達PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を出した。これを受け、国営ビーマン・バングラデシュ航空は、7月15日から7月22日にかけての国内線全線の運航を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(「プロトムアロー」紙7月13日)。

バングラデシュでは、感染拡大の状況(2021年7月13日記事参照)にある中、一時的な規制緩和により、さらなる事態の悪化が懸念される。一方で、国民の多くが帰省する犠牲祭の前に公共交通機関を停止した場合、停止直前に故郷に戻ろうとする人々が大挙してしまうため、今般の緩和措置が必要との見方も報じられている(「ダッカトリビューン」紙7月13日)。

(山田和則、安藤裕二)

(バングラデシュ)

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