在香港日系企業の4~6月期DI値は前期から大きく上昇、ジェトロ調査

(香港)

香港発

2021年07月27日

ジェトロは在香港日本総領事館、香港日本人商工会議所と共同で、在香港の日系企業などを対象にした「第8回香港を取り巻くビジネス環境にかかるアンケート調査」を実施(7月2~9日)した。

今後のDI見込み値は低下

2021年4~6月期の景況感指数(DI)値は、前期から23.9ポイント上昇して23.4で、4月時点の予測DI値(15.8)から7.6ポイント高い数値となった。また、7~9月期のDI値(見込み値)は4~6月期より11.1ポイント低い12.3だった。(添付資料図参照)。

業績悪化の最大要因、新型コロナの影響が75.5%

業績悪化の最も大きな要因を聞いたところ、「新型コロナウイルス」を挙げた企業は75.5%、「貿易摩擦などの米中の対立」は15.5%だった。また、業種を問わずに85.6%の企業が「新型コロナウイルス」の影響を受けたと回答した。

56.5%が国家安全維持法に懸念、マイナスの影響とした企業は15.5%

香港国家安全維持法について、「大いに懸念している」(12.2%)または「懸念している」(44.3%)との回答は、全体の56.5%となった。法制定の影響については、「影響は生じていない」(60.3%)または「現時点ではわからない」(23.1%)との回答は83.4%となり、「マイナスの影響が生じている」との回答は15.5%だった。

1年前と比較したビジネス環境、63.1%が「変わらない」

1年前と比較した香港のビジネス環境について聞いたところ、63.1%の企業が「変わらない」と回答。今後1年のビジネス環境の見通しでは、48.4%の企業が「変わらない」と回答し、「改善する」は12.7%、「悪化する」(24.4%)または「大きく悪化する」(0.7%)との予測は25.1%だった。

業務遂行上の最大の課題は出入境制限

今後の業務遂行上の課題について、「香港・中国間の出入境制限」と回答した企業は全体の75.5%と最も多く、「香港・日本間の出入境制限」(71.2%)も7割を超えた。このほか、「顧客訪問等営業活動の制限」(46.8%)、「売上減少」(42.5%)などが続いた。

本社が「香港の実情を悲観的に認識している」との回答31.8%

本社による香港の評価については、31.8%が「実情を悲観的に認識している」と回答し、「実情を正確に把握している」(24.0%)を上回った。悲観的に認識する要因として、「日本国内での報道が悲観的過ぎるから」が69.5%だった。また、本社が悲観的に認識することによるビジネスへの影響としては、「拠点縮小の検討を指示されたり、促されたりしている」との回答が46.0%となった。

(野原哲也)

(香港)

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