新型コロナ対策の輸入品免税措置を改定

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年07月26日

インドネシア政府は、新型コロナウイルス対策の目的で輸入する物品の輸入税など諸税を免除する財務大臣規定を改正し、7月12日から施行した(財務大臣規定2021年第92号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

この免税措置は2020年4月に導入されたものだが(2020年4月23日記事参照)、今回の改正により、ハンドサニタイザーや消毒剤、マスク(N95マスク以外)などが免税対象から外れ、酸素濃縮器や酸素生成器が新たに免税対象となった。手続きの流れや免税対象物品一覧表などは税関から公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされている(一覧表の仮訳は添付資料参照)。

免税措置を受けたい物品が輸入規制対象品の場合は、国家防災庁(BNPB)の推薦状を取得する必要があり、輸入時に税関へ推薦状を提出すれば、同庁や所管省庁が定めた一定の枠内で当該輸入規制や諸税の免除を受けられる。推薦状の取得や免税申請の手続きは、「インドネシア・ナショナル・シングルウィンドウ(INSW)」から行う(添付資料を参照)。

新型コロナ感染拡大で酸素の需給逼迫

インドネシアでは新型コロナウイルス感染者が急増しているため、医療用の酸素が不足している。工業用の酸素ボンベを全て医療用に提供するよう当局から指示を受けた企業があったり、政府が医療用酸素や酸素濃縮器の緊急輸入を行うとの報道も出たりすることからも、事態の深刻さがうかがえる。

保健大臣規定2017年第62号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、インドネシアに医療機器を輸入する場合は事前に流通ライセンス(Izin Edar)の取得を義務付けているが、患者のケアを行うなどの特別な状況では、流通ライセンスがなくても、保健省が発行する特別輸入証明書があれば輸入できるとの例外規定がある(第46条)。また、特別輸入証明書の発行要件は、医療機器などの輸出入に関する保健省ガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で定めている(関連部分抜粋は添付資料を参照)。

政府がどういう手段で、また、どういうルートで医療用酸素や酸素濃縮器を迅速に調達して医療崩壊を防ぐのか、保健省をはじめ政府の動向は要注目だ。

(中沢稔、佐々木新平)

(インドネシア)

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