スエズ運河座礁事故の損害賠償協議が終結
(エジプト、日本)
カイロ発
2021年07月08日
3月23日に発生した、正栄汽船(本社:愛媛県今治市)が所有し台湾船社エバーグリーンが運航する「Ever Given」のスエズ運河での座礁事故は、国際物流に大きな衝撃を与えた(2021年3月26日記事参照、2021年3月29日記事参照)。離礁後も運河を管理するスエズ運河庁とエバーグリーンとの間で損害賠償の交渉が長期化していたが、和解交渉が進展し、7月7日に関係者立ち会いの下で最終合意の署名式典がエジプトのイスマイリアで行われた。これで損害賠償協議は終結し、コンテナ船「エバーギブン」は100日間の拘留を解かれ、地中海に出港した。
現地報道によると、スエズ運河庁は水路の閉鎖や救助活動などによる損害は極めて大きいとして、当初は約9億1,600万ドルの損害賠償額を見積もっていたが、その後は約6億ドルに減額して請求した。一方で、船主側は約1億5,000万ドルを提示していた。署名式典では、最終的な賠償金額や合意条件など詳細は公表されていない。
ジェトロが企業関係者にヒアリングしたところによると、座礁事故後は通航再開されて1週間ほどの混乱が見られたが、現在は通常運用に戻っているという。また、事故前から港の混雑による配船スケジュールに遅れが発生していたようだ。事故が起こった3月は特に気候が荒く、自然事故も少なくないが、事故や遅延のリスクが大きくならないよう、管理者と船舶とのさらに密な連携を期待する声が出ている。
(常味高志)
(エジプト、日本)
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