米MSCI、アルゼンチンを「新興国」から「スタンドアローン」市場に格下げ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年07月14日

米国のモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)は6月24日、アルゼンチンの格付けを「新興国市場」から「スタンドアローン市場」に格下げしたと発表した。MSCIはインデックスファンド組成の基になる指数を公表している。

MSCI指数は、「先進国」「新興国」「フロンティア」「スタンドアローン」の4つの市場カテゴリーに分類している。株式取引を前提に、資本規制や市場の流動性などから市場の成熟度を測って区分している。「フロンティア」は「新興国」よりも市場規模が小さく、ゆがみも伸びしろもある市場、「スタンドアローン」は資本移動に規制があって流動性が低く孤立した市場。

「スタンドアローン」のカテゴリーには、アルゼンチンのほかに、ジャマイカ、パナマ、トリニダード・トバゴ、ボツワナ、ジンバブエ、レバノン、パレスチナ、ブルガリア、ウクライナなどが含まれる。

アルゼンチンは、マウリシオ・マクリ前政権下の2018年6月に「フロンティア」から「新興国」に格上げされ、2019年5月からMSCI新興国株式指数に組み込まれていた(2018年6月27日記事参照)。

MSCIは今回の格下げの理由について、「2019年9月以降、投資家などはアルゼンチンの資本規制の影響を受けている。長期にわたる厳格な資本規制が解消されていないため、アルゼンチンはMSCI新興国株式指数に組み込まれる基準を満たしていないと見なし、新興国からスタンドアローン市場に分類した」としている。

6月27日付の現地紙「エル・クロニスタ」は、多くの市場アナリストやブローカーは格下げを見込んでいたものの、「フロンティア」ではなく、さらに一段下の「スタンドアローン」に変更されたことに衝撃を隠せないとしている。「格下げ自体は大きな意味を示さないが、短期的には投資家をアルゼンチンからさらに遠ざける材料となるだろう」「中期的には、投資家が注視すべきなのは11月の中間選挙の結果、IMFやパリクラブとの交渉の行方、今後数年の経済政策だ」と報じている。

「スタンドアローン」市場に分類されたことは、アルゼンチンは投資に適さないというレッテルを貼られたことを意味するが、アルゼンチンのカントリーリスクは投資家の間でこれまでも認識されており、また、アルゼンチン関連銘柄の株式も限られていることから、国内経済には大きな影響はないとみられる。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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