MSCIがアルゼンチンを「新興国」に格上げ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年06月27日

株式指数の算出など幅広い金融サービスを提供する米国企業MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は6月20日、アルゼンチンの格付けをこれまでの「フロンティア」から「新興国」に格上げしたことを発表した。「新興国」のカテゴリーには、ブラジル、中国、インド、ロシアなどのBRICS諸国をはじめ、中南米ではチリ、コロンビア、メキシコ、ペルーも含まれる。今回の発表によって、2019年5月からアルゼンチン株とサウジアラビア株が同社の新興国株式指数に組み込まれる。

マクリ大統領は同日、ツイッターで今回の格上げを祝うとともに、今後、海外からの資金がさらにやってくることに期待を示した。当地の株式市場と投資家にとっては大きな後押し材料なるとみられている。

同社の見直しは年に1度行われるもので、2017年は「新興国」への格上げが見込まれていたものの、マクリ政権の改革が不可逆的なのかの見極めがつかないとの判断から、格上げが見送られていた。一方、2018年は第1四半期の経済成長率が3%台を記録するなど安定していたが、見直し直前の4月下旬から自国通貨の下落や政策金利の急上昇、IMFへの支援要請などによって不透明さを増し、一時は再び格上げの判断が困難との報道も行われていた。

MSCIが発表した声明によれば、今後、アルゼンチン政府が流動性を規制するような措置を講ずれば格付け見直しを行う姿勢もみせており、現政権の改革路線の継続が格上げの要件だと示唆する内容となっている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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