欧州委、タクソノミー基準を強化する資金調達戦略を発表

(EU)

ブリュッセル発

2021年07月08日

欧州委員会は7月6日、サステナブル・ファイナンス(持続可能な資金提供)に関する新しい戦略PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2030年の温室効果ガス排出削減目標を達成するためには、エネルギー分野で毎年3,500億ユーロの追加投資が必要だと欧州委は試算。本戦略は投資に必要な民間部門の資金調達を促進するための諸政策をまとめたものだ。

欧州委は2018年3月に「持続可能な成長への資金提供に関する行動計画」を発表しており、今回の戦略は同計画を見直したものに当たる。同計画ではEUのサステナブル・ファイナンスの中核に、持続可能な経済活動の独自基準であるタクソノミー(2021年4月22日記事参照)を据えている。その上で、企業には、持続可能性に関する課題への対応について投資家への情報公開を求める指令案(2021年4月23日記事参照)や、資金調達の手段としてタクソノミーに整合したEUグリーンボンドの基準策定などを進めてきた。しかし、欧州委のメイリード・マクギネス委員(金融サービス・金融安定・資本市場同盟担当)は、持続可能性への対応を秩序立って進行しなければ「財政的なショック」を引き起こすリスクがあると指摘し、新しい戦略では「移行の支援」「包摂性」「レジリエンス」「グローバルな視点」の4つの柱に基づいた追加的な施策をまとめていると説明した。

「移行の支援」は、温室効果ガス削減に取り組む上で、天然ガスを含む中間段階のエネルギーへの投資の必要性を認め、これを財政的に支援する措置を指す。天然ガスや核エネルギーに関する諸活動をカバーした補完的なタクソノミー基準を今夏、進行中の科学的な審査プロセスが完了し次第、速やかに採択することも含まれる。「包摂性」に関しては、中小企業による資金調達の支援策や、人権など、グリーン以外の社会的課題への配慮に取り組むとしている。「レジリエンス」については、今後、気候変動などの持続可能性に関する課題がいかに事業に影響を与えるか、また、企業活動がいかに社会や環境に影響を与えるかといった複眼的な観点での開示が求められる中、欧州委は、金融商品の格付けや企業の会計報告基準などに、こうした持続可能性リスクを反映させることで、金融セクターの持続可能性リスクへの対応能力の強化を目指す。「グローバルな視点」では、欧州委が中国やインドなどと2019年10月に立ち上げ、現在は日本や英国なども参加するサステナブル・ファイナンスに関する国際的な連携・協調を図るプラットフォーム(IPSF)を活用した国際協力の強化などが盛り込まれた。

タクソノミー規則に基づく情報開示要求を明確化

欧州委は同じく6日、タクソノミー規則第8条が規定する企業への情報開示内容を明確化した委任規則を採択した。企業は2022年1月から、売り上げや設備投資などに占めるタクソノミーに準拠した活動の割合の公表を求められる。金融機関には、金融資産に占めるタクソノミー準拠の商品や投資先の割合公表が求められる。

(安田啓)

(EU)

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