上海市の上半期のGRP成長率は12.7%、消費が急回復

(中国)

上海発

2021年07月28日

上海市統計局は7月21日、2021年上半期の経済概況を発表した。域内総生産(GRP、速報値)の実質成長率は前年同期比12.7%となり、全国と同じ水準だった(添付資料表参照、2021年7月26日記事参照)。新型コロナウイルス感染拡大により経済活動が停滞した前年の反動は依然としてあるものの、成長率は第1四半期(1~3月)の17.6%に比べ4.9ポイント鈍化した。

産業別では、第一次産業が4.7%減、第ニ次産業が17.3%増、第三次産業は11.3%増となった。第二次産業については、工業生産が好調で、特に自動車製造業(36.9%増)、専用設備製造業(32.6%増)、電気機械および機材製造業(31.7%増)の伸びが大きかった。第三次産業については、卸売・小売業(15.2%増)、不動産業(13.6%増)がいずれも前年同期のマイナス成長から回復したほか、情報サービス業(16.1%増)の伸び率も前年同期より2.6ポイント高かった。

消費動向を示す社会消費品小売総額は30.3%増で、前年同期の11.2%減から急回復した。特に、宝飾品類(72.4%増)、化粧品類(24.0%増)の小売額の伸びが堅調だった。また、前年不調だった実店舗の経営が改善し、一定規模以上の店舗の小売総額が33.7%増となったほか、電子商取引(EC)の小売り額は21.2%増と全体の16.4%を占めた。

そのほか、固定資産投資は10.9%増だった。製造業投資(10.1%増)、不動産投資(11.5%増)、インフラ投資(11.2%増)が軒並み2桁増となった。ただ、企業の形態をみると、民営企業(27.4%増)、外資企業(12.4%増)が大幅増だったのに対し、国有企業は1.4%増にとどまった。

貿易総額は19.0%増となった。輸出(9.6%増)は前年同期(0.7%増)から順調に伸び、輸入は前年のマイナスから25.4%増と急拡大した。

香港からの直接投資は25.9%増で全体の7割

上半期の対内直接投資実行額は前年同期比21.1%増の124億4,800万ドルとなった。国・地域別にみると、香港が25.9%増の88億5,900万ドルと全体の71.2%を占めた。第2位以下の投資額は公開されなかったが、全体に占める割合をみると、シンガポール(12.6%)、欧州(5.8%)、日本(3.2%)、米国(2.4%)の順となり、上位5カ国・地域からの投資が全体の95.2%を占めた。業種別にみると、リース・商務サービス業(38億1,000万ドル)、科学研究と技術サービス業(15億8,100万ドル)をはじめとする第三次産業への投資が21.8%増の119億3,500万ドルとなり、全体の95.9%を占めた。

上海市は2021年上半期の経済について、総じて安定的な回復を維持しているものの、新型コロナウイルス感染状況は変化しており、外部環境でも不確実性が高いとしている。引き続き、ハード、ソフト両面の実力を増強しながら、経済の好転を維持・促進する必要があるとした。

(劉元森)

(中国)

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