上半期のGDP成長率、前年同期比12.7%

(中国)

北京発

2021年07月26日

中国国家統計局の7月15日の発表によると、2021年上半期の実質GDP成長率は前年同期比12.7%となった(添付資料図、表参照)。第2四半期(4~6月)の成長率は7.9%だった。

同局の劉愛華報道官は上半期の実績に関して、消費の成長牽引作用が高まったこと(注1)、スポーツ・娯楽用品や化粧品などの消費が2年平均で10%以上伸びたこと(注2)、新エネルギー車、産業用ロボット、集積回路などの生産量が増加したこと、全国の住民1人当たり可処分所得の伸び率が2年平均で5.2%と実質GDP成長率(2年平均で5.3%)と基本的に同水準にあることなどを挙げた。その上で、中国経済は安定的な回復を持続していると評価した。他方、国外での新型コロナウイルス感染が継続しており、外部の状況に不確実性が高いことや、原材料価格の上昇が小規模零細企業、特にサプライチェーンの川中・川下にある企業の生産経営を圧迫していることなどを指摘した。

中国国際経済交流中心の張永軍副総経済師は、第2四半期成長率の事前予測の多くが8%以上だったことを踏まえると、7.9%は予想より弱かったと評価した。その上で、投資の寄与度が縮小したことが成長率下押しの要因となっており、金額の大きな投資案件が少なかったことや、地方で資金不足があったこと、環境影響評価が強化されたことなどが製造業やインフラの投資の伸びを押し下げた可能性を指摘している。

また、粤開証券研究院の羅志恒副院長は、不動産投資と輸出が主導する経済回復局面から製造業投資と消費が牽引する成長への切り替えに時間を要していると指摘した。羅氏はその要因として、一部地域で感染が飲食などのサービス消費を減速させたように、新型コロナウイルスの影響が依然として残っており、消費が以前の水準にまで戻っていないこと、コモディティー商品価格の高騰や二酸化炭素排出削減に向けた規制の影響で中小企業の経営が厳しくなり、投資を拡大する能力がないことなどを挙げた。

このほか、民生銀行研究院の王静文高級研究員は、新型コロナ国内感染の抑制と消費促進策の効果により、消費の伸びは拡大していくとみているものの、都市住民の貯蓄意欲と家計に占める負債比率の上昇、消費意欲が低い高齢者人口の増加を消費の制約要因として指摘した(注3、「21世紀経済報道」7月16日)。

(注1)CEICデータベースによると、上半期の実質GDP成長率に対する寄与度は、最終消費支出(消費)が7.8(第1四半期は11.6)、固定資本形成(投資)が2.4(同4.5)、外需(純輸出)が2.4(同2.2)となっている。

(注2)2年平均伸び率は、国家統計局の定義では、2019年の同期を比較対象とし、幾何平均の方法で算出した伸び率としている。

(注3)中国人民銀行のアンケートによると、第2四半期の都市住民の貯蓄意欲は49.4%と、2010~2019年の平均41.4%を上回る水準となっている。

(小宮昇平)

(中国)

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