地方投資環境ランキングで極東の順位上昇、規制緩和で多くの地方の投資環境が改善
(ロシア)
モスクワ発
2021年06月22日
ロシアの連邦構成体(以下、地方)の投資環境改善の提言とモニタリングを行う政府関係機関「戦略イニシアチブ庁(ASI)」は6月4日、第24回サンクトペテルブルク国際経済フォーラムに合わせ、2021年の地方別投資環境国家ランキングを発表した。首位はモスクワ市で、それにタタルスタン共和国、チュメニ州が続いた。
各地方の評価は、a.規制緩和、b.投資活動支援、c.インフラ整備、d.中小企業支援の4分野・43の指標に基づき行われる。モスクワ市とタタルスタン共和国は3年連続でそれぞれ1位、2位を維持し、チュメニ州は2年ぶりに3位に返り咲いた(添付資料表参照)。モスクワ市のセルゲイ・ソビャニン市長は、同市が首位を獲得したことについて「納税猶予などの規制緩和とビジネス界との恒常的な対話の成果」と語っている。
極東地域の躍進も目立った。サハリン州は8位と、2020年から22位順位を上げ極東の地方として初のトップ10入りを果たした。サハ共和国(ヤクーチヤ)も20位から10位へと順位を大きく上げた。
今回のランキングの特徴は6位以下の地方がグループ化されたことだ。その理由について、ASIのスベトラーナ・チュプシェワ長官は「各地方の投資環境改善は大きく進展しており、地方間の指標の差は縮小している。ごくわずかな差で順位をつけるのは実態に合わない」と説明。同長官は過去2年のランキング(2019年6月20日記事参照、2020年7月15日記事参照)と同様に、「多くの地方で総合指数が改善した」と評価した。
全体的に投資環境が改善された理由として、規制緩和が挙げられる。発表に立ち会ったアンドレイ・ベロウソフ第1副首相は、2020年に建築分野を中心に行われた3,000項目の規制緩和、税務検査の実施や納税の猶予が、投資環境改善と「新型コロナ禍」の中での企業活動の維持につながったと評価した。
ビジネス界からも、この流れを評価する声が上がっている。中小企業団体オポラ・ロシアのアレクサンドル・カリーニン会長は、税務査察の延期や納税猶予が中小企業の資金繰りに寄与し、「新型コロナ禍」中で中小企業が存続できた要因だと語った。
(梅津哲也)
(ロシア)
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