新型コロナ死者数の新統計、基準別・年代別・地域別などのデータも公表

(ペルー)

リマ発

2021年06月07日

ペルー首相府(PCM)が特設した新型コロナウイルスによる死者数の統計整備を担う臨時技術ワーキンググループ(GTT)がまとめ、5月31日に提出した提言書(2021年6月3日記事参照)は、新たな基準による全国の死者数の修正以外にも、死亡認定基準別や年代別、地域別のデータも公表している。

基準別では、PCR検査または抗原検査によって陽性反応を示した後に60日以内に死亡した事例である「ウイルス学的基準」が全体の29.7%を占めて最も多く、次いで、新型コロナウイルスを死因とする死亡診断書を有する場合の「全国死亡者情報システム(SINADEF)基準」が28.8%となっている。

年代別では、60代が男女合わせて4万6,416人と最も多く、次いで、70代4万3,988人、80代以上3万5,922人、50代3万366人、40代1万4,987人と、中高年層が全体の95%を占めている。男女比では、男性が約11万5,000人に対して、女性が約6万5,000人と男性の死者数が女性を大きく上回っている。

地域別では、人口の約3分の1が集まる首都リマと隣接するカジャオ特別区のみで全体の51.2%に上る9万2,495人を記録していた。その他の地域では、北部ピウラ州(1万911人)、同ラ・リベルタッド州(9,212人)、同ランバジェーケ州(7,663人)、中部イカ州(7,412人)、南部アレキパ州(7,137人)など、いずれも沿岸部や都市部に集中している(その他は添付資料表参照)。

提言書では1日当たりの死者数にも言及している。SINADEFによると、ペルーのパンデミック以前の1日当たりの平均死者数は約315人だったが、2021年の第2波のピーク時では1,200人超と4倍近くに上っていた。

ペルーの死者数が他国に比べてここまで増加した原因について、提言書は、他国では導入されていない基準を使ったため、原因解明にはより詳細な分析が必要と前置きをしつつ、「手洗いする水道がないなど、感染予防策を講じられない多くの貧困層の存在」などの社会格差問題と、「検査試薬不足、医療従事者不足、医療用酸素不足、病床不足」などの医療体制の不備を挙げている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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