入国人数制限の強化で渡航先での立ち往生、海外への渡航取りやめ相次ぐ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年06月30日

アルゼンチン政府は6月26日、世界中で猛威を振るうデルタ型変異株の侵入を遅らせ、その間にワクチン接種を拡大するため、同日以降の1日当たりの入国者数を2,000人から600人に制限した(2021年6月28日記事参照)。これを受けて、航空各社は便数調整を余儀なくされており、急な欠航により海外に滞在中の人が渡航先から帰国できなくなる、海外へ渡航を予定していた人が出国できなくなるといった例が多発している。渡航先からアルゼンチンへの帰国に1カ月以上かかるとの見方もある。なお、アルゼンチンでは現在、非居住者外国人の入国は原則禁止している。

6月29日付の現地紙「ラ・ナシオン」などによると、渡航先で立ち往生する人は4万人に達している。また、複数の現地報道によれば、7月10日以降の便で帰国しようにも航空便は満席で、帰国は1カ月先になる可能性があるようだ。入国人数制限は7月10日以降も継続されるとの多くの旅行代理店の見方も報じられている。

全国の自治体の中には、入国後の強制隔離措置を厳格化する動きもある。入国者は、出発地におけるPCR検査の検体採取日から10日間の隔離を義務付けられているが、ブエノスアイレス州政府は6月29日、ブエノスアイレス州に滞在する入国者は、「指定ホテルで4日間、残りの期間を自宅で隔離すること」を義務付けると発表した。

移民局の調査では、海外から帰国した人の32%が強制隔離措置を順守していないことが明らかになっている。今後は、ブエノスアイレス州以外でも、デルタ型変異株の侵入防止に向けて隔離措置が強化される可能性がある。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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