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国民投票、温暖化対策を推進する改正二酸化炭素法を否決

(スイス)

ジュネーブ発

2021年06月17日

スイスで国民投票が6月13日に実施された。「安全な飲料水と健康な食品」および「化学合成農薬の不使用」に関する2つのイニシアチブ(国民発議)(注1)、「改正二酸化炭素(CO2)法」「Covid-19法」「改正テロ対策法」の3つのレファレンダム(注2)の投票が行われた。それぞれ、反対60.68%で否決、反対60.56%で否決、反対51.59%で否決、賛成60.21%で可決、賛成56.58%で可決された。

1つ目の「安全な飲料水と健康な食品」イニシアチブは、直接支払い補助金の受給対象を、殺虫剤などの農薬や家畜に対する抗生物質を使用していないなど、環境に配慮した条件を守っている農家のみに厳格化することで、土壌や水質汚染を防ぐことを求めたものだ。2つ目の「化学合成農薬の不使用」イニシアチブは、化学合成農薬の禁止を求めたもので、スイス国内での使用のみならず、農薬を使用した外国産の農産物の輸入も禁じることを求めていた。連邦参事会(内閣)は、これらのイニシアチブの内容は行き過ぎており、食料生産量および供給量の低下や輸入食品の選択が制限されるなどの懸念があるとして、反対票を投じるよう呼び掛けていた。

今回特に注目されたのは、3つ目の「改正CO2法」の可否を問うレファレンダムだった。2020年6月に議会で可決された改正CO2法(2020年6月17日記事参照)では、ガソリン税の引き上げ、化石燃料を使用する暖房によるCO2排出量の上限設定、スイス発のフライトに対して航空券税を課すなどの内容が定められていた。徴収したCO2税の3分の1、航空券税の最大2分の1の金額が、気候変動に配慮した技術を開発する企業支援や、充電ステーションなどのインフラ整備の投資を支える基金に投入される予定だった。連邦参事会は、改正法での新たな課税は妥当な金額の範囲内で、パリ協定で掲げた2030年までにスイスの温室効果ガス排出量を1990年比で半減させるという目標達成のために重要な改正として、賛成票を投じるよう国民に呼びかけていた。一方で、レファレンダムを提起した委員会は、値上げや新たな課税が特に中・低所得者に与える負担が大きいこと、スイスのCO2排出量は全世界のわずか0.1%でスイスは過去10年間で1人当たり24%の削減を達成済みと、既に十分な取り組みを行っていることなどを主張していた。

4つ目の「Covid-19法」に関するレフェレンダムは、新型コロナウイルスに対する経済支援策などの法的根拠である「Covid-19法」の可否を問うもので、可決された。また、5つ目の「改正テロ対策法」に関するレフェレンダムは、テロ対策強化を目的に、テロリスクをもたらす可能性のある人物に対する警察の権限を拡大した内容で、可決された。

写真 改正CO2法賛成を訴えるポスター(ジェトロ撮影)

改正CO2法賛成を訴えるポスター(ジェトロ撮影)

(注1)イニシアチブは、有権者10万人以上の署名を要件として、国民が憲法改正の提案を行うもの。

(注2)レファンレンダムは、議会が可決した法律の是非について国民が投票するもの。

(城倉ふみ、マリオ・マルケジニ)

(スイス)

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