2020年版ベトナム家計生活水準調査結果の速報を公表

(ベトナム)

ホーチミン発

2021年06月08日

ベトナム統計総局はこのほど、2020年版ベトナム家計生活水準調査報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の速報版を公表した。同調査は、ベトナムの生活水準の継続的な把握を目的に、2002年から行われており、報告書はこれまで偶数年のものが公開されている。2020年の調査は、全国4万6,995世帯を対象に行われ、収入、支出、人口統計、教育、健康、雇用、住居、耐久財、衛生など幅広い項目のデータを収集している。

1人当たり月間平均所得は10年間で3倍に増加

報告書によると、2020年の1人当たりの月間平均所得は、新型コロナウイルス流行の影響で2019年と比べると約2%落ち込んだが、2010年比では139万ドン(約60ドル、注1)から423万ドンに増加し、10年間で約3倍(年率約11.9%の伸び)になった(添付資料表参照)。

都市部と農村部の内訳をみると、都市部は554万ドンで、2010年比で約2.6倍、農村部は348万ドンで、2010年比で約3.3倍となる。農村部の伸びが大きいが、都市部と農村部との間には依然として格差(約1.6倍)は存在する。また、所得階層別(注2)に高所得層(グループ5)と低所得層(グループ1)を比較すると、2010年では9倍以上の開きがあったが、2020年では約8倍に縮小した。

1人当たり月間平均所得はビンズオン省が国内最高

省・市別にみると、ビンズオン省が702万ドンとなり、ホーチミン市の654万ドン、ハノイ市の598万ドンを上回った。ビンズオン省はホーチミン市に隣接し、外国からの直接投資件数は、2020年末までの累計でホーチミン市、ハノイ市に次ぐ3位。同省の2020年のPCI(ベトナム各省・市競争力指数)は、総合では4位だが(2021年4月22日記事参照)、特にインフラ(工業団地、道路、エネルギー・通信、インターネット)では1位だ。

所得の上昇が生活水準や食生活の変化をもたらす

所得の上昇に伴い、生活水準が向上したことは、衛生的な飲料水、トイレ、電気へのアクセス、耐久消費財の保有率などの指標に表れている。また、食生活(1人当たりの月間消費量)では、10年前と比べコメが9.7キログラム(㎏)から7.6㎏に、野菜が2.3㎏から1.7㎏に減り、肉の消費量が1.8㎏から2.3㎏に増えた。ワイン・ビールに関しては、2018年の0.9リットルから、2020年には1.3リットルに増加した。

(注1)IMFデータより、2020年末の為替レート1ドル=2万3,131ドンを用いてドルに換算。

(注2)下位20%の低所得階層をグループ1として、その後、20%ごとにグループ2からグループ5まで区分したもの。

(近藤秀彦)

(ベトナム)

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