EUのミャンマー制裁対象者、43人と6社・団体に拡大

(EU、ミャンマー)

ブリュッセル発

2021年06月23日

EU理事会(閣僚理事会)は6月21日、ミャンマー国軍による2月の権力掌握とその後の市民による抗議のデモ活動に対する弾圧への制裁第3弾として、新たに軍政下の閣僚や副大臣など8人と、3つの企業、退役軍人組織を対象に加えると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。4月19日の発表(2021年4月20日記事参照)以来の対象リストへの追加となり、これで、EUによるミャンマー制裁の対象者・企業は合計で43人と、6の企業・団体となった。

今回対象となった8人は主に国軍関係者で、軍による権力掌握以降の肩書では、国家統治評議会幹部、国境担当相、計画・財務・工業相、天然資源・環境保全相、運輸・通信相、法務長官、国防副大臣、情報担当副大臣となっている。新たな対象企業はそれぞれ国有企業または実質的に軍事政権の支配下にある企業で、ミャンマーの宝飾産業に支配的な影響を持つミャンマー・ジェムズ・エンタープライズ(MGE)、木材生産と輸出を独占的に行うミャンマー木材公社(MTE)、MTEの関連会社である林産品加工企業の3社。これまでの制裁と同様に、個人に対しては、EU加盟国への入国や域内でのトランジットも禁止し、個人と企業・団体の対象はEU域内に保有する資産を凍結するとともに、EU企業や市民が対象者・企業・団体に資金などを提供することも禁止する。

EUは、一連の制裁措置は主要な国際的パートナーと歩調を合わせたものだとした。英国も21日にMTEなどに制裁対象を拡大したと発表しており、主要国・地域が連携して、国軍の資金源となっている木材や宝飾品産業などの封じ込めを図っている。

なお、EUは同じく21日、ベラルーシに対しても、深刻な人権侵害状況が拡大しているとして、78人と8団体を対象とする大規模な制裁発動を発表している。ジョセップ・ボレル・フォンテーリャス外務・安全保障政策上級代表(欧州委員会副委員長兼任)はミャンマー制裁と同様に、ベラルーシへの制裁も米国やカナダ、英国などと協調して進めているとし、6月11~13日のG7サミット(2021年6月14日記事参照)でも両国の情勢を含む安全保障面でG7の結束を確認したように、主要国間での国際連携を強調した。

(安田啓)

(EU、ミャンマー)

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