中銀、6会合連続で政策金利を据え置き

(インド)

ムンバイ発

2021年06月09日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は6月4日の金融政策決定会合(MPC)で、政策金利(レポレート)を4.0%に据え置くことを決定した。また、新型コロナウイルスが国内経済に与える影響を軽減することを目的に、金融政策も引き続き「必要な限り緩和的なスタンス」を維持するとした。政策金利の据え置きは2020年8月から6会合連続となった。

RBIのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、政策金利据え置きの要因として、消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)の安定などが挙げられている。RBIはインフレ率の目標範囲を4%±2%と設定しているが、3月は前年同月比5.5%、4月は4.3%と、いずれも目標範囲内に収まっている。食料インフレ率は3月の5.2%の後、穀物や野菜、砂糖の価格が前年比で下落していることを背景に、4月は2.7%まで低下した。

今後のインフレ率については、上昇か下落のどちらにも推移し得るとした上で、4~6月は前年同期比5.2%、7~9月は同5.4%、10~12月4.7%、2022年1~3月5.3%とし、2021年度(2021年4月~2022年3月)は5.1%を予測している。要因として、国際的な原油価格や物流コストの上昇の可能性、平年並みのモンスーンによる穀物価格の安定、新型コロナウイルス感染者数の減少に伴うサプライチェーンの平常化などを挙げている。

GDP成長率については、2021年4~6月は前年同期比18.5%、7~9月は同7.9%、10~12月7.2%、2022年1~3月6.6%とし、2021年度は9.5%を予測している。前回4月の予測では通年で10.5%としていたが、今回予測では下方修正した。新型コロナワクチン接種者の増加に伴う経済活動正常化や、世界的な景気回復に伴う輸出増というプラス要因があるものの、農村部での感染拡大などのリスクも引き続き残る。

6月7日時点の新型コロナウイルスの1日当たり新規感染者数は約10万人で、40万人以上を記録した5月初旬から減少し続けている。他方で、米国大手格付け会社ムーディーズは、インド各州は各種制限措置の解除を慎重に進めていることから、消費や雇用の正常化にはやや時間を要する可能性があると分析している(「ミント」紙6月4日)。

(榎堀秀耶)

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