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タイ米USTR代表、労働者中心の通商政策で初演説、政策形成に労働者取り込み

(米国)

ニューヨーク発

2021年06月14日

キャサリン・タイ米国通商代表部(USTR)代表は6月10日、米国の労働組合を代表する米労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)の集会で、バイデン政権が掲げる「労働者中心の通商政策」に関する初の演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。本稿では、タイ代表の演説の前半部分を総括する。

USTRは3月に発表した「2021年の通商政策課題と2020年の年次報告」(2021年3月3日記事参照)で「労働者中心の通商政策」を志向していくことを打ち出していた。タイ代表は今回の演説で、その政策方針の下で重視していく価値観や対応策の中身を説明した。タイ代表は冒頭、通商政策はバイデン政権の経済政策である「より良く再建する(Build Back Better)」を推進するもので、労働者を中心に置くものとした。その上でまずは、政権が支持・推進する「団結権保護法案(PRO Act, H.R.842)」(注1)や「米国雇用計画」「米国家族計画」(注2)の早期成立が必要だと強調した。

タイ代表は続けて、従来の通商政策や税制、労働関連の政策が労働者よりも大企業を優先し、底辺への競争を助長してきたと指摘し、その流れを是正すべく、(1)通商政策の形成過程に労働者を取り込む、(2)WTOが労働者を重視するよう改革を進める、(3)同盟・友好国と連携して様々な課題に対処する、(4)産業界とも緊密に連携するの4点を強調した。

(1)に関しては、労働者と協力した成果の実例として、タイ代表自身も成立に関与した米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を挙げた。USMCAは域内の事業所での労働権侵害を迅速に解決するための新たなメカニズムを含んでおり、USTRはこの2カ月で既に2件、同メカニズムに基づきメキシコ政府に事実確認を要請している(2021年6月11日記事参照)点を強調した。今後はWTOやAPEC、OECDなど国際的な場でも労働者の声が通るようにしていくとした。

(2)では、WTOのルールは労働基準に関する内容を含んでいないとして、既に米国が取り組んでいる例として、漁業補助金の新規律に関する交渉を挙げ、USTRが強制労働に関する条項を含むことをWTOに提案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていると述べた。そのほか、交渉機能、透明性、紛争解決処理といった課題についても再活性化と現代化が必要とし、オコンジョ・イウェアラWTO事務局長と協働していくとした。

(注1)雇用主が労働者の権利を侵害した場合に罰金を科すことや、労働者の団体交渉権を拡大する内容を含む法案で、3月に下院で可決されているものの、上院での審議が止まっている。

(注2)「米国雇用計画」の概要については2021年5月25日記事参照、「米国家族計画」の概要については2021年4月30日記事参照。

(磯部真一)

(米国)

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