欧州委、ラトビアの復興計画の審査完了

(ラトビア、EU)

ワルシャワ発

2021年06月29日

欧州委員会は6月22日、ラトビア政府が4月30日に提出した「復興レジリエンス計画」(以下、復興計画)の審査が完了したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。復興計画はEUの復興基金を活用した「復興レジリエンス・ファシリティー(RRF)」(2020年9月24日付地域・分析レポート参照)による支援を受けるために欧州委員会への提出が義務付けられているもので、ラトビアの復興計画はRRFから総額18億2,000万ユーロの拠出を求める内容となっている。

気候変動とデジタルトランスフォーメーションに焦点当てた復興計画

ラトビア政府が提出した復興計画は次の6つの柱より構成されている。

  1. 気候変動(6億7,620万ユーロ、全体の37%):持続可能なモビリティーへの移行、エネルギー効率の向上のための大規模な投資、風力発電の導入など。
  2. デジタルトランスフォーメーション(3億6,520万ユーロ、全体の20%):公共サービスのデジタル化、デジタルスキル研修、企業のデジタル化など。
  3. 格差の是正(3億7,000万ユーロ、全体の20%):地方のインフラ開発や、良質な雇用の創出など。
  4. 医療分野の改善(1億8,150万ユーロ、全体の10%):病院の平準化改革の一環として、病院や医療サービス提供者のインフラ整備やアクセシビリティーの向上など。
  5. 経済と生産性の改革(1億9,600万ユーロ、全体の11%):生産性改革、イノベーション・エコシステムの形成促進、高等教育機関のマネージメント改革など。
  6. 法の支配の強化(3,700万ユーロ、全体の2%):シャドーエコノミーと経済犯罪への対応強化に向けた警察や裁判所などの法執行機関職員の研修など。

今後、EU理事会(閣僚理事会)は原則4週間以内に欧州委員会の提案を審議し、承認すれば、ラトビアに対して2億3,600万ユーロ(拠出総額の13%に相当)の前払い資金を支出することができる。

また、ラトビア中央銀行が6月14日に発表した最新の経済成長予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、2021年の実質GDP成長率を3.3%、2022年を6.5%と予測している。ラトビアでは6月27日時点で新型コロナウイルスワクチンを少なくとも1回接種している18歳以上の国民の割合は33.4%と接種が進んでおり、感染拡大防止のために設けていた行動制限なども段階的に解除されている。

(吉戸翼)

(ラトビア、EU)

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