海南自由貿易港は外資企業の新たなビジネスチャンス、海南省長が言及

(中国)

広州発

2021年06月25日

中国国務院新聞弁公室(内閣広報室に相当)は6月21日、海南自由貿易港法(6月10日施行、2021年6月22日記事参照)に関する記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催し、海南省の馮飛省長が質問に応じた。

「外資系企業の新たなビジネスチャンスは何か」との記者の質問に、馮省長は、(1)ゼロ関税や企業・個人所得税の減免などの優遇税制、(2)投資分野の全面的開放(国防など国家が管理する分野を除く)、(3)政策の安定性とビジネス環境の予見性向上の3点を挙げて説明した。

馮省長は、海南自由貿易港知的財産法院(裁判所)や海南国際仲裁委員会を設立したことにも言及、国際基準にのっとった仲裁規則の制定準備を進めていると強調した。海外人材の受け入れに関しては、現在59カ国に対して実施しているビザ免除措置のさらなる拡充と、労働ビザ(工作許可証)発給条件のネガティブリスト管理への移行などを検討中で、自由貿易港の建設には海外人材の導入が必須との認識を示した。

優遇策実施に伴う密輸などのリスク対応

馮省長は、優遇策の実施に伴う密輸や脱税などのさまざまリスクについて、15のワーキンググループを立ち上げ、「密輸リスク、税収リスク、金融リスクを重点分野として対応している」と説明した。

密輸リスクは主に離島免税措置を悪用する行為で、2020年7月1日以降、税関との連携の下、ビッグデータを活用して12回の取り締りを行い、80の違法組織を摘発した。違法行為者は離島免税措置を3年間使用できない上、信用情報システムに記録される。

税収リスクは例えば、企業・個人所得税15%の優遇適用要件を満たしていない企業などが制度の抜け穴を利用するなどして享受するケースが発生している。企業登記手続きなどの段階で行政部門が正確な判断を行えるよう、市や県に至るまでリスク識別体制を構築した。

金融リスクに関しては、これまで金融の産業基盤が脆弱(ぜいじゃく)だった海南省が自由貿易港になったことで、一気に国際資本の流動性が高まることが予想されるため、中国人民銀行(中央銀行)は違法な資金調達の取り締りや不動産への資金流入など、資金流動状況をモニタリングできる体制を整備しているとした。

(清水顕司)

(中国)

ビジネス短信 7bc1b2add09bbf8a