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米国のサプライチェーン強化、政権と議会の協力も不可欠

(米国)

ニューヨーク発

2021年06月11日

米国のバイデン政権は6月8日、重要製品4分野に関するサプライチェーン強化に向けた報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。そこでの提言内容は、即応が必要な策と中長期で対応すべき策に分かれているが、本稿では、中長期で対応すべき提言に焦点を当てる(注)。

政権が発表した政策提言では、同盟・友好国との協力を強調している一方、外国の不公正な動きには厳しく対応していく姿勢を打ち出している。特に、中長期の提言の中では「執行を含めた国際貿易ルールの強化」を挙げているほか、「不公正な貿易慣行との闘い」を指摘し、外国の不公正な貿易慣行に対しては、通商代表部(USTR)を中心にタスクフォースを設立し、米国単独の通商法執行も辞さない考えを示している。具体的な強化策の中には、商務省がネオジム磁石の輸入に関して、1962年通商拡大法232条による調査を開始するかを検討することも含まれている。

また「国内外での持続可能なサプライチェーンへの投資」を掲げ、食料サプライチェーンの強化に向け40億ドル以上を投じるほか、連邦政府による調達案件に適用されるバイ・アメリカン法に関して、政府が調達する製品・部材に含まれる重要素材に関する新たな規則案を発表するとも提言している。

そのほか、提言の中には、電気自動車普及のための予算など、現在、政権が議会共和党と交渉中の「米国雇用計画」(2021年5月25日記事参照)に含まれているものもあり、それらの実現には議会との協力が不可欠となっている。米国雇用計画に関する交渉は、バイデン大統領と共和党側で協議を主導するシェリー・ムーア・カピト上院議員(ウェストバージニア州)による交渉が決裂したと報道されており、成立に向けた見通しは不透明となっている。

一方で、半導体分野の提言にある、国内製造および研究・開発のための最低500億ドルの予算については、上院のチャック・シューマー院内総務(ニューヨーク州)が中心となって提出し、6月8日に可決した「米国イノベーション・競争法案(S.1260外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」に含まれており、バイデン大統領も超党派での取り組みを称賛する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。今後は、下院での同法案可決が焦点となるが、上院ほど超党派での合意が形成されていないもようで、こちらも成立の見通しはまだ立っていない。政権、議会ともに、総論では国内のサプライチェーン強化の必要性には合意しつつも、予算規模や財源については引き続き擦り合わせが必要な状況にある。

なお、政権は今回報告書にまとめた4分野以外の防衛と、公衆衛生および生物学的危機管理、情報通信技術(ICT)、エネルギー、運輸、農産物・食料生産のサプライチェーンについても、大統領令14017の署名から1年後の2022年2月24日までに同様の報告書を発表する予定だ。

(注)政権が即応が必要とした提言内容については、2021年6月10日記事参照

(磯部真一)

(米国)

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