民間病院が行う遠隔医療サービスの基準制定

(タイ)

バンコク発

2021年06月25日

タイ保健省は民間病院が遠隔医療サービスを実施する際の「遠隔医療システムを使用した病院の基準外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を2月1日に制定している。それを踏まえ、ジェトロが6月18日に、同基準の状況についてバンコク市内の大手民間の2病院にヒアリングしたところ、以下のとおりだった。

両病院では無料通信アプリのLINEと協力し、スマートフォンを使用した医療サービスの提供を既に行っているとのこと。また新型コロナウイルス感染拡大を受けて同サービスの利用者増加が見込まれる中、患者側の通信環境や保険の適用範囲、遠隔医療サービスへの抵抗感などの課題もあり、現時点ではサービスの利用者数は横ばいという。

この2月に制定された「基準」は「遠隔医療サービス」と「遠隔医療サービスシステム」に適用されるもの。「遠隔医療サービス」は、遠隔医療システムを使用し、医師が相談、診断、治療、病気の予防などに役立つ情報交換や、医療・公衆衛生担当者の継続的な教育に役立つ情報交換のための医療サービスを指す。「遠隔医療サービスシステム」とは、さまざまな場所にいる人々に対して、映像や音声等によって医療サービスを提供するデジタルプラットフォームを指す。遠隔医療サービスを実施する病院は、(1)従来どおりの医療サービスに影響を与えないための十分な医療従事者の確保、(2)サービス提供者とサービス享受者間で問題なくコミュニケーションを取ることのできる通信設備の2点が求められている。

遠隔医療サービスを使用するために必要となるインターネットは広く普及しており、タイでは、2019年時点で5,010万人がインターネットを利用している(2021年5月20日付地域・分析レポート参照)。

(平林拓朗)

(タイ)

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