中国カンシノ製の新型コロナワクチンの緊急使用を承認
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2021年06月15日
アルゼンチン政府は6月12日、保健省決議1671/2021号を公布し、中国の康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)製の新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認した。
同国はこれまでに、ロシアの「スプートニクV」と、米国ファイザーの「コミナティ」、英国アストラゼネカ製、中国シノファーム製の各ワクチン使用を承認していた。現在、ファイザー製を除くワクチンが接種されているが、これはファイザーとのワクチン供給契約交渉が不調となっているためだ(2021年6月10日記事参照)。
サンティアゴ・カフィエロ首相は5月27日には、カンシノからワクチン供給を受けることで同社と合意したと発表していた。その後、6月11日にブエノスアイレス州が500万回接種分、サンタフェ州が100万回接種分の供給を受けることでカンシノと合意したと発表。ブエノスアイレス市も同社と交渉中であることが明らかになっている。ブエノスアイレス州は、インドのバーラト・バイオテックから同社が開発したワクチン「Covaxin(コバクシン)」1,000万回接種分の供給を受けることで合意したとも発表している。なお、コバクシンの国内での使用はまだ承認されていない。
こうした地方政府の動きは、4月にカフィエロ首相が「ワクチンの調達は政府以外にも認められる」と発言したことを受けたものだ。連邦政府によるワクチン確保数と地方への分配数は足元では増加傾向にあるが、いち早くワクチン接種を行い、感染拡大を抑えたいとの各地方政府の思惑が背景にあるとみられる。
アルゼンチンではロシアの「スプートニクV」を国内生産するが、生産に必要な有効成分が既にロシアから輸入されている(2021年6月7日記事参照)。ワクチン接種の拡大が期待される。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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