EUの第1四半期GDP成長率、前期比マイナス0.1%

(EU、ユーロ圏)

ブリュッセル発

2021年06月10日

EU統計局(ユーロスタット)は6月8日、2021年第1四半期(1~3月)のEU27カ国とユーロ圏19カ国の実質GDP成長率(季節調整済み)をそれぞれ前期比マイナス0.1%、マイナス0.3%と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料表1、2参照)。

EUとユーロ圏の成長率(前期比)は、2020年第2四半期(4~6月)に同統計が開始された1995年以来の最大の落ち込み(EU:マイナス11.1%、ユーロ圏:マイナス11.5%)となった後、第3四半期(7~9月)に力強い回復(EU:11.7%、ユーロ圏:12.6%)を示したが、第4四半期(10~12月)には再びマイナス(EU:マイナス0.4%、ユーロ圏:マイナス0.6%)に転じていた。2021年第1四半期も引き続きマイナス成長となった。前年同期比ではそれぞれマイナス1.2%、マイナス1.3%となり、依然として新型コロナウイルス危機前の水準には回復していない。

EUの実質GDP成長率(前期比、以下同)を需要項目別でみると、個人消費がマイナス1.9%(寄与度:マイナス1.0ポイント)と落ち込み、GDP縮小の主要因となった。総固定資本形成は0.8%(同0.2ポイント)とプラス成長を維持したが、政府消費支出はマイナス0.1%(同0.0ポイント)だった。輸出と輸入はともに1.1%のプラス成長だった。

国別でみると、アイルランド(前期比7.8%)やクロアチア(5.8%)、エストニア(4.8%)などの16カ国でプラス成長となった(添付資料表2参照)。また、2020年第2四半期の大幅な落ち込みを経て、第3四半期以降、3期連続でプラス成長をした加盟国は10カ国だった。一方、ポルトガル(前期比マイナス3.3%)、スロバキア(マイナス2.0%)をはじめとする11カ国でマイナス成長となった。

ユーロ圏の主要4カ国をみると、ドイツがマイナス1.8%、スペインがマイナス0.5%、フランスがマイナス0.1%、イタリアが0.1%となった。この中で唯一プラス成長となったイタリアは、2021年第2四半期以降、新型コロナウイルス新規感染者数が減少傾向にあり、ワクチン接種も加速する中、観光を再始動し、さらなる経済回復に期待が高まっている(2021年6月9日記事参照)。

(大中登紀子)

(EU、ユーロ圏)

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