2021年第1四半期のGDP成長率は前期比0.1%、今後の加速に期待

(イタリア)

ミラノ発

2021年06月09日

イタリア国家統計局(ISTAT)は6月1日、2021年第1四半期(1~3月)の経済成長率を、前期比で0.1%、前年同期比でマイナス0.8%と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(季節調整済み、添付資料表参照)。イタリアでは、特に3月に感染の再拡大が顕著となり、市民生活および経済活動における制限が続いたが、ワクチン接種も徐々に進む中、第1四半期のGDP成長率が前期比で辛うじてプラスになった。

需要項目別にみると、個人消費支出は前期比1.2%減、政府最終消費支出も0.2%減となり、国内最終消費全体では1.0%減と小幅な落ち込みとなった。GDPの約6割を占める個人消費支出は、イタリア経済における重要な要素の1つだが、各種制限措置が続く中、前期から引き続きマイナス成長になった。

一方、総固定資本形成は堅調な伸びをみせ、全体で前期比3.7%増と伸長した。住宅が4.8%増と上向き、機械設備も3.5%増と伸びた。機械のうち、輸送機器への投資も4.4%増となり、3四半期続けてのプラス成長になった。製造業は前期に引き続き回復基調が続いており(2021年3月8日記事参照)、2021年3月の鉱工業生産指数(建設業を除く)は115.8と、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年同月の113.3を上回った。そのほか、財・サービスの貿易は、輸出が0.1%減とわずかに落ち込み、輸入は2.3%増となった。

観光も再始動、今後の経済回復に期待

特に2021年第2四半期以降は、新規感染者数が減少傾向にあり、ワクチン接種も加速する中、さらなる経済の回復に期待が高まっている。宿泊業の業界団体Federalberghiは5月27日、プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表。マーケティング会社ACS Marketing Solutions Instituteによる調査結果として、祝日(共和国記念日)の6月2日から週末にかけて、人口の約15%に相当する約900万人のイタリア人が旅行をする、と伝えた。その旅行先は99.3%が国内で、69.6%が居住している州内となっている。同プレスリリースの中で、ベルナボ・ボッカ会長は「(この900万人という数字は)新型コロナウイルス感染拡大前の同時期の好業績と比較すると低い数値だが、現段階および完全な闇を経験した2020年のような年の後では、奇跡のようだ」とコメントしている。規制緩和に伴い個人消費も復調し、さらなる経済の復興が進むか注目が集まる。

(山崎杏奈)

(イタリア)

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