5月のインフレ率は前月比微減も3%を上回る、年間予測は40%超に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年06月22日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は6月16日、5月のインフレ率〔消費者物価指数(CPI)上昇率〕は、全国平均で前月比3.3%(前年同月比48.8%)上昇したと発表した(添付資料図参照)。2021年では最も低い上昇率だが、8カ月連続で3%を上回っている。季節により価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは前月比1.5%、エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは3.8%で、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は3.5%上昇した。

5月月間の伸び率が大きかったのは、交通(6.0%)と医療(4.8%)(添付資料表参照)。交通部門では、前月に続いて自動車や燃料の価格、タクシー料金の値上げが押し上げ要因となった。食品・飲料(酒類を除く)(3.1%)では、食油・バター、乳製品、卵、コーヒー、茶類、マテ茶、野菜、パン類なども前月と同様に物価を押し上げた。

政府は6月8日、インフレ対策の新たな措置として、食料品をはじめとした生活必需品70品目の価格を180日間据え置く「スーペル・セルカ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」制度を発表した。対象は大手食品メーカーのブランドを含み、小規模スーパーマーケットや個人経営のスーパーマーケットで販売されるものとなっている。並行して、食料品・生活必需品160品目、大手スーパーマーケットで販売されるものを対象に価格を統制する「プレシオス・クイダードス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」制度が継続される。なお、食品メーカーなどが強く批判していた「プレシス・マクシモス」制度(さまざまな生活必需品の販売価格を2020年3月6月時点の店頭価格に据え置いた制度)は終了した。

現地民間調査会社エコラティナは「プレシオス・マクシモス」制度終了の影響により、6月のインフレ率は引き続き3%を上回り、2021年上半期のインフレ率は累計25%となると予測している。また、7月から12月までの平均インフレ率の見通しは2.7%で、年間インフレ率は47%に達すると予測している。アルゼンチンでは、11月に中間選挙(2021年6月9日記事参照)が実施される予定で、政府は選挙を意識して公共サービス料金を値上げせず、先送りする見通しだ。そのため、2022年のインフレ率も40%を下回る可能性は低いとみられる。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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