新型コロナの影響で国会議員の予備選挙と中間選挙を9月、11月に延期

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年06月09日

アルゼンチンで国会議員を選出する予備選挙および中間選挙の日程が、それぞれ9月12日、11月14日に行われることが正式に決まった。今回に限っての措置となる。

当初、予備選挙は法律第26571号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、中間選挙は法律第19945号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより、それぞれ8月の第2日曜日、10月の第4日曜日に開催することが定められていたが、2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、これらを後ろ倒しにすることを定めた法律第27631号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが6月4日に公布された。

予備選挙は、正式には全党同時開放型義務的予備選挙(PASO)と呼ばれるもので、2009年の選挙制度改革により導入された。本選挙に参加する政党は、必ずPASOに参加しなければならない。PASOで1.5%超の有効票を得られなかった政党は本選挙に参加できないため、各政党における候補者選びの場として機能する。本来、PASOには右から左まで異なる政治思想の集合体である与党・正義党(通称ペロン党)において、中央と地方の州知事の意見を調整する役割が意図されていたようだが、野党にとっても候補者の絞り込みに資するという利点があるようだ。

中間選挙は、大統領選挙と同時に実施されない国会議員選挙だ。政権発足から2年後に行われるため、時の政権への信認を図る選挙でもある。上院24議席(72議席中)、下院127議席(257議席中)が改選される。

正義党にとって、PASOおよび中間選挙の延期は、選挙までに新型コロナウイルスワクチン接種を拡大することで支持率を回復するための猶予となる。他方、中間選挙の延期がIMFとの債務再編交渉に及ぼす影響を懸念する声も聞かれる。中間選挙が後ろ倒しされることにより、IMFとの合意時期も後ろ倒しになる可能性があるからだ。与党にとって、中間選挙前にIMFが提示するだろう、国民受けしない厳しい条件を受け入れることは難しい。他方、パリクラブ債務の再編にはIMFとの合意が求められている(2021年5月28日記事参照)。選挙と債務再編交渉をめぐり、不透明な状況が続く。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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