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米USTR、中国に一層の知財政策の改善を要求、2021年版スペシャル301条報告

(米国、中国、インド、トルコ、EU)

ニューヨーク発

2021年05月06日

米国通商代表部(USTR)は4月30日、知的財産に関わるスペシャル301条報告書(2021年版)を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。スペシャル301条報告書は1974年通商法182条に基づき、米国企業などの知財保護が不十分または不公正な国について連邦議会に報告を行うことが目的。長期間にわたり報告対象となっている国について、米国側が求める改善がみられない場合、同法301条に基づく措置やWTOおよび貿易協定の紛争解決手続きなどの措置が検討される。

USTRは、懸念の水準が高い順に「優先国」「優先監視国」「監視国」の指定を行っている。今回の報告で優先国に指定された国はなく、優先監視国には9カ国、監視国には23カ国がそれぞれ指定された(注)。前年版からの変更点は、アルジェリアが知財関連の市場アクセスに対する障壁を削減する取り組みを行ったとして優先監視国から監視国に移されたのと、アラブ首長国連邦(UAE)が医薬品に関する知財保護に関する規制を改善したことで監視国から除外された2点となる。

報告書は、分野別の進展や継続する課題をまとめた第1部と、優先監視国と監視国に指定した国別の状況をまとめた第2部に分かれている。例えば、第1部の中では、「模造品に対するルール執行」が国際的な懸念事項だとして、特に新型コロナウイルスに見舞われた過去1年間では、模造された新型コロナウイルス用検査キットやマスクなどの個人防護具(PPE)が中国から世界に出回ったとして、同国の電子商取引市場も含めて問題視している。そのほか、インドからの医薬品やトルコからの衣服や食品も模造被害が多いと指摘している。また、「地理的表示(GI)」の分野では、優先監視国、監視国には指定していないが、EUによる排他的なGI政策が引き続き、米国の生産者・輸出者の市場アクセスにとって障壁になっていると懸念を示している。

第2部の国別編では、中国に単独で最多となる10ページを割いて、懸念点などをまとめている。USTRは、米中両国が2020年に署名した第1段階の経済・貿易協定(2020年2月21日記事参照)に基づき、中国が特許法や著作権法を改正したことなどを指摘しつつも、「これら改革に向けた動きは効果的な執行を必要としており、また、中国における知財環境を改善させるために必要な根本的な変化には足りていない」とさらなる進展を求めている。同協定によると、両国は6カ月ごとに、閣僚レベルで協定の履行状況などについて協議することになっているが、2020年8月の実施以降、バイデン政権になってからは開催されていない。キャサリン・タイUSTR代表はこの点につき、2021年4月28日に開催された上院歳出委員会の公聴会で、現在は中国の協定順守状況を精査している最中で、「しかるべきタイミングで」中国の副首相と会談を行うとし、実施時期の明言は避けた。

なお、2020年はスペシャル301条報告書と同時に公表した「模造品・海賊版に関わる悪質市場の調査結果」(2020年5月12日記事参照)について、次回の調査は2021年秋を予定していることを明らかにした。

(注)【優先監視国】アルゼンチン、チリ、中国、インド、インドネシア、ロシア、サウジアラビア、ウクライナ、ベネズエラ。

【監視国】アルジェリア、バルバドス、ボリビア、ブラジル、カナダ、コロンビア、ドミニカ共和国、エクアドル、エジプト、グアテマラ、クウェート、レバノン、メキシコ、パキスタン、パラグアイ、ペルー、ルーマニア、タイ、トリニダード・トバゴ、トルコ、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ベトナム。

(磯部真一)

(米国、中国、インド、トルコ、EU)

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