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米USTR、中国、インド、インドネシアに対する懸念を強調、スペシャル301条報告書

(米国、中国、インド、インドネシア)

ニューヨーク発

2020年05月12日

米国通商代表部(USTR)は4月29日、知的財産に関わるスペシャル301条報告書(2020年版)および模造品・海賊版に関わる悪質市場の調査結果(2019年版)を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

スペシャル301条報告書は1974年通商法182条に基づき、米企業などの知財保護が不十分または不公正な国について議会に報告を行うことが目的。長期間にわたり報告対象となっている国について、米国側が求める改善がみられない場合、同法301条に基づく措置やWTOおよび貿易協定の紛争解決手続きなどの措置が検討される。

USTRは懸念の水準が高い順に「優先国」「優先監視国」「監視国」の指定を行っている。今回の報告で優先国に指定された国はなく、優先監視国には10カ国、監視国には23カ国がそれぞれ指定された(注1)。

冒頭要旨では、中国、インド、インドネシアに対する懸念が明記された。中国については、今年1月に発効した米中経済貿易協定を通じた進展に触れつつも、強制技術移転や模造品の大量生産・輸出などの課題は未解決と指摘した。インドは、州が発行する医薬品の製造許可手続きの不透明性や、医薬品や農薬の販売許可向けに収集する治験データの保護に問題があると指摘した。インドネシアは特許法に不備があり、特許要件や強制実施権(注2)に問題があるとしている。

前年の報告書で優先監視国だったクウェートは、著作権法の改正や取り締まり強化を行ったとして、監視国に引き下げた。また、法改正を行ったスイスとジャマイカに加え、公務員の無許可ソフトウエア利用を解決したとしてコスタリカとギリシャの計4カ国を前年の監視国から除外した。一方、トリニダード・トバゴは、無免許のケーブル・衛星チャンネルを放送する事業者への取り締まりが不十分として、2016年以来の監視国に戻った。日本はいずれのリストにも指定されず、前年と同様に薬価基準への懸念が挙げられたが、米国の知財当局と特許庁間の連携や映画館での盗撮禁止法を評価する記述がみられる。

また、USTRは模造品・海賊版に関わる悪質市場の調査結果(2019年版)にて、38のオンライン市場および34の実物市場で模造品や海賊版の取引が横行した結果、当該取引は推定で全世界の輸入の2.5%を占め、被害総額は年間5,000億ドル近くに及ぶと報告した。また2019年4月の大統領覚書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づき、Eコマース(EC)市場を重点調査しており、前年に引き続き淘宝(タオバオ)などの複数の中国オンライン市場を悪質市場として挙げているが、今年は新たに米EC大手アマゾンの海外サイトも悪質市場に指定した。USTRはカナダ、ドイツ、フランス、英国、インドのアマゾン販売サイトで売主に対する審査が不十分なため、誰でも容易に売主となることができ、また権利者が模造品を排除する手続きも時間がかかり煩雑と指摘している。

(注1)【優先監視国】アルジェリア、アルゼンチン、チリ、中国、インド、インドネシア、ロシア、サウジアラビア、ウクライナ、ベネズエラ。【監視国】バルバドス、ボリビア、ブラジル、カナダ、コロンビア、ドミニカ共和国、エクアドル、エジプト、グアテマラ、クウェート、レバノン、メキシコ、パキスタン、パラグアイ、ペルー、ルーマニア、タイ、トリニダード・トバゴ、トルコ、トルクメニスタン、アラブ首長国連連邦、ウズベキスタン、ベトナム

(注2)政府が緊急事態対応などのために設定するもので、特許権者の事前承諾を得ることなく、当該特許技術を使用できるとする権利。知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)第31条外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、同協定加盟国が強制実施権を設定できる条件を定めている。

(藪恭兵)

(米国、中国、インド、インドネシア)

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