アジア安全保障会議などの会合、新型コロナ感染者増で相次ぎ中止

(シンガポール)

シンガポール発

2021年05月21日

英国の国際戦略研究所(IISS)は5月20日、シンガポールで6月4~5日に開催予定だった「アジア安全保障会議(シャングリラ会合)」の中止を発表した。IISSは「感染力の強い変異株など新型コロナウイルスの世界的な感染状況の悪化に加え、シンガポール国内でも感染者の増加を受けて新たな感染防止策が導入されている」として、開催断念の理由を説明した。

シャングリラ会合は2002年以降、シンガポールで毎年開催されているもので、アジアや北米、中東、欧州から国防相や幹部官僚、企業代表などが参加していた。2020年の会議も新型コロナウイルス流行により中止されたことから、2年連続での開催中止となった。IISSは2022年央に対面式での開催再開を目指したいとしている。

WEF年次総会も中止、香港とのトラベルバブルは再延期

世界経済フォーラム(WEF)も5月17日、シンガポールで8月17~20日に予定していた特別年次総会を、国内外での感染状況の悪化と先行きの不透明感などを受けて、中止を決めている(2021年5月19日記事参照)。このほか、シンガポールと香港は5月17日、同月26日から予定していた、隔離なしで一般渡航を可能にする「トラベルバブル」について、シンガポール国内での感染状況の悪化を受けて再延期を発表した(2021年4月27日記事参照)。

シンガポール保健省によると、5月20日の新型コロナウイルス新規感染者は41人で、うち27人が国内の感染者(累計6万1,730人、うち6万1,229人回復、死者32人、重症4人)。同国では5月20日までに100人の感染者が確認されているチャンギ空港をはじめ、公立病院や刑務所、学習塾など24の感染クラスターが確認されている。国内の感染者増加を受けて、政府の新型コロナウイルス・タスクフォースは5月16日から6月13日まで、集会の人数上限を5人から2人に制限するなど、感染防止強化の時限的措置を導入している(2021年5月17日記事参照)。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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