気候サミットで国際的なパートナーシップ強化を呼び掛け

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年05月06日

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は4月22、23日に開催されたジョー・バイデン米国大統領主催の気候サミット(2021年4月23日記事参照)において、エネルギー関連分野などにおける先進国との国際的なパートナーシップ強化を重視する姿勢を示した。他方、二酸化炭素(CO2)の排出削減目標については言及しなかった。

ジョコ大統領は同サミットにおけるスピーチで、インドネシアは気候変動の抑制に真剣に取り組んでいると強調。気候変動への取り組みはインドネシアの国益につながるものだとし、現在の森林減少率の低下を例に挙げ、政策や法執行が順調に進んでいることをアピールした。また、複数の先進国が2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロを掲げていることに触れ、「先進国の支援・貢献が真に信頼できるものであれば、開発途上国も同様の野心的な取り組みを実行するだろう」と、先進国からの支援が重要だとの考えを示した。

続いて、パリ協定の目標達成、温室効果ガス実質排出量ゼロおよび第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に向けた戦略策定のため、国際的なパートナーシップ強化が重要との考えを示した。北カリマンタンで建設が進むグリーン工業団地や、バイオ燃料、電気自動車の開発を例とし、「エネルギー分野への投資と技術移転に門戸を開いている」と、投資誘致に向けた意志を表明した。また、2022年にインドネシアを議長国として開催される、金融・世界経済に関する首脳会合(G20)では、気候変動と持続可能な開発に関する協力強化を優先事項としたいとの考えを示した。

一方、ジョコ大統領が排出量削減目標引き上げなどの明確な方針を示さなかったことに、専門家からは批判の声も聞かれる。世界資源研究所(WRI)インドネシア支部のシニア・マネージャーであるアリエフ・ウィジャヤ氏は、ジョコ大統領が気候変動への取り組みについて先進国からの支援を待っていると発言したことに触れ、「国際的な排出量削減目標に対するインドネシアの貢献をあいまいにするものだ」との考えを示した(「ジャカルタ・ポスト」紙4月26日)。

(尾崎航)

(インドネシア)

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