英・インド首脳、通商・安保など協力強化へロードマップに合意

(英国、インド)

ロンドン発

2021年05月13日

英国政府がインドとの関係強化に向けた動きを本格化させている。ボリス・ジョンソン首相は5月4日、インドのナレンドラ・モディ首相とオンライン形式で会談し、中期的な行動計画をまとめた「2030ロードマップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」について合意した。将来、自由貿易協定(FTA)交渉を開始する考えを明記したほか(注)、通商や安全保障、保健、学術交流など幅広い分野で2国間関係を大幅に深化させることで一致した。

ロードマップの主な内容は以下のとおり。

  • 保健分野の安全保障や新型コロナウイルスのパンデミックからの回復力を強化するため、医薬品やワクチン、その他医療製品の国際的なサプライチェーン確立などを実現。
  • 気候変動と環境保護に関する野心的な目標実現のために協働。クリーンなエネルギーと輸送手段の開発、生物学的多様性の保全、気候変動への対応に向けた開発途上国支援などを加速。
  • 新設した英国・インドの「拡大貿易パートナーシップ(ETP)」を通じて経済関係を深化。10年間で両国の貿易額を倍増させるため、双方は2021年内にFTAの交渉方針策定や意見公募を実施。
  • 保健、気候変動、新興技術など重要分野の研究に関する両国大学間の協力を拡大。専門資格の相互承認などを早期に実現。
  • 両国共通の安全保障上の脅威に対する連携を強化。西インド洋での協力を可能にするため、2021年内に英国空母打撃群をインドに派遣し、空海軍の合同演習を実施。

青年就労ビザや不法移民送還にも合意

同じ5月4日には、ロードマップでも言及した移民・ビザ政策について、プリティ・パテル内相とG7外相会合のため訪英したインドのスブラマンヤム・ジャイシャンカール外相が覚書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを締結。18~30歳の若者に各国年間3,000人を上限に最長2年間の滞在・就労を認める「青年就業制度(Young Professionals Scheme)」の導入や、不法移民の送還の迅速化などを定めた。英国は類似のビザ制度(Youth Mobility Scheme)を日本やオーストラリアなど9カ国・地域に認めているが、英国が訪問ビザを免除していない国を対象に同等の制度を導入するのは、今回のインドが初めて。

ジョンソン首相は首脳会談に合わせ、民間企業による総額10億ポンド(約1,540億円、1ポンド=約154円)の貿易・投資案件外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも公表。IT大手インフォシスやワクチン製造大手セラム・インスティチュート・オブ・インディアなどインド企業19社が5億3,300万ポンドを英国に投資し、英国からは石油大手BPやフィンテックスタートアップのレボリュートなどが4億4,600万ポンド相当の輸出を拡大する。

政府は3月に発表した外交・安全保障政策の新方針「統合レビュー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」などでインド太平洋地域を重視する考えを打ち出しており、インドのほか、日本やオーストラリアなどを重要国と位置付けている。ジョンソン首相は2019年7月の首相就任後、国際会議参加などではない初の本格的な外遊先としてインドを選び、2021年1月に訪問する計画だった。しかし、英国で新型コロナウイルス感染が急拡大したことを受けて訪問を4月に延期。さらに、同月にはインドで感染が拡大したため訪問を断念し、今回のオンライン会談となった。この間、2020年12月にはドミニク・ラーブ外相、2021年2月にはエリザベス・トラス国際通商相がインドを訪問するなど、地ならしを進めていた。

(注)追記:2021年5月18日記事を参照のこと。

(宮崎拓)

(英国、インド)

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