インド、英国とEUとのFTA交渉開始・再開に相次ぎ合意

(インド、英国、EU)

アジア大洋州課

2021年05月18日

インドは英国、EUと相次いで自由貿易協定(FTA)交渉の開始・再開に向けて動き出した。EU・インドのFTA交渉は2007年から政府間交渉を開始したが、2013年以降は停滞していた。

インドのナレンドラ・モディ首相と英国のボリス・ジョンソン首相は5月4日、バーチャルサミットを開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。世界5位と6位の経済大国間の貿易の可能性を引き出すべく、2030年までに2国間貿易を2倍以上にするという野心的な目標を掲げた「拡大貿易パートナーシップ(ETP)」を発足させた。この一環として、FTA交渉の開始に合意し、協議を今後進める。合意内容には、早期に両国間の利益を得るための暫定的な貿易協定の検討も含まれている。

インドはEUとも5月8日、バーチャル首脳会議を開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。両者は戦略的パートナーシップを強化する意向を表明するとともに、FTA交渉再開の決定を歓迎した。投資協定の交渉も早期締結を目指し並行して進める。その他、WTO問題や規制面での協力、市場アクセス問題、サプライチェーン強靭(きょうじん)化に関して、経済的連携を深化・多様化させることも確認した。

報道には、インド太平洋地域で台頭する中国への対抗がインドとEUの関係を強化する動きにつながったとの表現も見られる(5月4日付「エコノミック・タイムズ」紙)。両者の会議では、自由で開かれた包括的ルールに基づくインド太平洋の重要性が認識し、今後、両地域が密接に関与していくことに合意した。

(坂本純一)

(インド、英国、EU)

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