安全保障貿易管理制度の実施に向けた通知案を基に公聴会を実施

(タイ)

バンコク発

2021年05月17日

タイ商務省外国貿易局(DFT)は5月6日、2020年1月1日に施行した「2019年大量破壊兵器および関連品目貿易管理法(TCWMD法)」(2020年1月15日記事参照)の実施に向けて、大量破壊兵器(WMD)に関連する物品や、最終使用目的や最終使用者が大量破壊兵器に関連すると合理的に疑われる物品にかかる管理措置の通知案に関する、オンライン公聴会を開催した。通知案の要点は、添付資料を参照。

タイでは当初、(1)HSコードに基づく「リスト2」該当品目の輸出前の自己証明(該非判定)、(2)「リスト1」該当品目の輸出前のライセンス取得(リスト規制)、(3)キャッチオール規制(CAC)を含むTCWMD法の完全施行を目指していた(2017年11月2日記事参照)。しかし、新型コロナウイルスの拡大などの影響を踏まえて完全施行が難しいことから、デュアルユースアイテム(DUI:軍事用途・民生製品の両方に利用できるような物品)に焦点を当てたCACを先行導入する方針に転換し、最終用途や最終使用者が疑わしい物品を管理するための措置を講じる。この規制では、大量破壊兵器の開発に使用されるようなDUIの輸出が禁止される。

輸出者および関連事業者は、CAC発動リスクを軽減するため、DFTガイドラインに基づいて内部コンプライアンスプログラム(ICP)を策定した上で、国連(UN)リストとの照合を行うなど、自社製品の最終用途および最終使用者を監視することが推奨される。ICPは、貿易取引を自己点検・監視するためのプログラムとして、企業に6つの重点分野におけるコンプライアンス対策を示すことを求めている。すなわち、(1)ICPの手順を実施するための責任とリソース、(2)スクリーニングプロセス、(3)トレーニング、(4)記録保持、(5)監査、(6)報告と是正措置だ。

通知案は、公聴会の後、法制委員会の審査プロセスを経てTCWMD委員会に提出されるため、2021年末~2022年初には施行される見通し。そのほか、TCWMD法を順守するための関連実務ガイドラインも導入される予定だ。

(シリンポーン・パックピンペット、北見創)

(タイ)

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