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安全保障貿易管理制度の導入を1年延期、2019年1月からに

(タイ)

バンコク発

2017年11月02日

政府は10月17日の閣議で、安全保障貿易管理制度(商務省通達)の導入を当初予定の2018年1月1日から1年遅らせ、2019年1月とすることを決定した。準備期間を確保するというのがその理由。大量破壊兵器の製造につながる物品や技術の貿易管理のため、ASEAN諸国が法令を導入する中、タイでも商務省外国貿易局(DFT)がこれとは別のより包括的な貿易管理法の準備も進めている。


ASEAN3カ国は法令、タイは通達で管理

導入が延期されることになった安全保障貿易管理制度は、「軍民両用品および関連物品の輸出手段に関する商務省通達」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、商務省通達、注1)で、現行の輸出入貿易管理法の下に位置付けられ、全ての物品輸出が適用対象となる。

ASEAN地域では、シンガポール(2003年戦略物品管理法)、マレーシア(2010年戦略貿易法)が安全保障貿易管理制度を導入しており、フィリピンも2016年戦略物質管理法の導入準備を進めている(表参照)。タイはこれらの国に続き、ASEAN地域で4カ国目の導入国となる見込みだ。

表 ASEAN諸国の安全保障貿易管理制度の導入状況

シンガポールなど3カ国が法令レベルで安全保障貿易を管理し、また単純輸出に限らずトランジット輸送や積み替え輸送、さらに技術なども対象としているのに対し、タイでは法令の一段下の通達で物品の単純輸出のみを対象としている。

延期理由は十分な準備期間の確保

商務省は今回の導入延期について、以下3点の理由を挙げている。

まず、当該制度のシステム対応準備に時間を要すること。商務省通達では、輸出管理を2段階で行うと規定している。まず、輸出事業者はHSコードリスト(リスト2)にのっとって、自社製品が規制対象品目か否か判断する。該当する場合には、続いてリスト規制品(リスト1)が示す技術的仕様を判定し、リストに該当する場合には輸出許可申請を行う(注2)。申請手続きは、e-TMD(e-Trade Management of Dual-use Items)と呼ばれる電子システムで行うが、現在は出荷ごとに個別申請する場合にのみ対応しており、いわゆる包括許可制度には対応していない(注3)。

次に、上記リストの見直し。まず、HSコードリスト(リスト2)を省令に記載のあるHS2012ベースからHS2017ベースに転換する。また、リスト規制品(リスト1)はEUが2016年に採用しているリストに基づき改定する。

3点目は省令の下に設けられる細則の整備、産業界への周知の期間を十分に設けることだ。

政府はより包括的な法整備を閣議決定

他方、タイでは商務省通達に加え、より包括的な「大量破壊兵器および関連品目貿易管理法」(TCWMD法)の整備が進められている。政府はTCWMD法を2016年10月4日に閣議決定し、現在一部修正作業が行われている。輸出のほか再輸出、トランジット、積み替え、仲介が、また物品に加えて技術なども規制対象となる。

ジェトロが8月にヒアリングを行った商務省外国貿易局のタッチャヤーポン課長によると、TCWMD法は軍民両用品も規制対象とするため、TCWMD法が施行されると同時に商務省通達は廃止される見込みで、先述のe-TMDもTCWMD法の施行と同時に新たなシステムに切り替わる予定だという。しかし、同局は2018年中のTCWMD法の施行を目指しているものの、「実際には相応の時間がかかる見込み」で具体的な施行時期は明らかになっていない。

こうした現状から、商務省通達とTCWMD法が短期間のうちに続けて施行される可能性もある。輸出事業者は、それぞれ施行のタイミングについて情報を収集し、適切に対応する必要があるだろう。

(注1)タイ商務省ウェブサイト。リンク先ページに「商務省通達」(PDF)が添付。HSコードに基づくリスト2(37ページ目以降)、軍民両用品に分類されるリスト1(3ページ目以降)、英語部分が351ページ目以降で参照可能。

(注2)リスト1には、核物質、施設および設備(分類0)、特殊物質および関連設備(分類1)、材料加工(分類2)、電子機器(分類3)、コンピュータ(分類4)、通信・情報安全(分類5)、センサー・レーザー(分類6)、航法・航空電子機器関連(分類7)、海洋関連(分類8)、航空宇宙・推進装置関連(分類9)の10分類が含まれる。

(注3)包括許可制度とは、個別の輸出について一括して申請して許可を受けられる制度。日本の包括許可制度外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについては、経済産業省のウェブサイトで参照可能。

(蒲田亮平)

(タイ)

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