医薬品などの特許の延長期間が失効、ブラジル最高裁が判断

(ブラジル)

サンパウロ発

2021年05月14日

ブラジル連邦最高裁(STF)は5月12日、特許存続期間の延長制度に関する産業財産権法第40条補項(注)の具体的な適用内容について判断を行った。

当該制度については、4月7日に仮処分が発表されている(2021年4月12日記事参照)。また、5月6日には40条補項について、STF判事(11人)9対2で違憲判断が下されたことで、その適用内容について注目されていた。

5月12日付STFのプレスリリースによると、判決日以降に付与される特許については、現在出願中あるいは審査中のものを含めて40条補項が適用されないこととなった。判決日時点において既に付与されている特許については40条補項の効果は引き続き有効だが、以下の2点については遡及(そきゅう)的に適用されることになり、40条補項に基づく特許存続期間の延長は失効となる。

  • 本件に関する仮処分発表日である2021年4月7日までに提起された訴訟案件
  • 医薬品および医療機器ならびにその材料に関する製品および方法に関する特許

現在、期間延長を受けている3万648件の特許のうち、11.2%に当たる3,435件が製薬分野におけるものだという。

(注)特許存続期間は、特許付与日から起算して、発明特許の場合は10年未満、実用新案特許の場合は7年未満であってはならない。ただし、ブラジル産業財産庁(INPI)が、係属中であることが確認されている訴訟、または不可抗力のために、出願の実体審査をすることができなかったときは、この限りでない。

(貝沼憲司)

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