外国投資に事前通知を義務付ける時限措置を終了、新たな制度へ移行

(ニュージーランド)

シドニー発

2021年05月28日

ニュージーランドのデビット・パーカー財務副大臣は5月25日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って一時的に導入していた外国投資の事前通知制度について、2021年6月7日をもって廃止し、新たな制度へ移行すると発表した。

ニュージーランド政府は、新型コロナウイルスの影響によって企業価値が低下する中、国益に反する企業買収を防ぐ目的で、一時的な措置として2020年6月から事前通知制度を導入した(2020年5月18日記事参照)。具体的には、海外投資家がニュージーランド企業へ投資を行う際に、投資額の大小にかかわらず、その投資によって持ち分が25%以上となる場合、あるいは既存の持ち分を50%以上に増やす場合に事前通知の義務を課し、国益に反するかどうかを検証してきた。

本措置は、90日ごとに必要性の見直しを行うとしていたところ、4回目の見直しを行った結果、パーカー財務副大臣は「感染抑制の成功と経済回復の進展によって、GDPや失業率などの経済指標が昨年の予測よりも改善していることから、本措置の終了を決定した」と説明した。

一方で、アーダーン連立政権は以前より国益審査の導入を目指しており(2019年12月9日記事参照)、2021年5月19日に海外投資法改正案が議会を通過した。その結果、6月7日に終了する事前通知制度に代わって、新たに「国家安全保障・公共秩序(NSPO)通知制度」が導入されることになった。NSPO通知制度では、国防軍への直接のサプライヤーや、軍事技術、港湾・空港、電気、水道、通信、金融市場インフラなどに関連する「戦略的に重要な事業」のほか、外国政府による直接または間接投資などに対象を絞って、審査を実施するとしている。詳細は、国土情報省海外投資局(OIO)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、順次発表される予定となっている。

(住裕美)

(ニュージーランド)

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