ADB、アジア新興地域の2021年経済成長を7.3%と予測、中国とインドの回復が牽引

(ASEAN、中国、インド)

アジア大洋州課

2021年05月06日

アジア開発銀行(ADB)は4月28日、2021年版アジア経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、アジアの新興国地域(注)の2021年の経済成長率を7.3%とする予測を発表。前回2020年12月の発表時(2020年12月15日記事参照)より0.5ポイント引き上げた。また、2022年の成長率については、5.3%と予測した(添付資料表参照)。

ADBは2021年の同地域の経済成長が、前年のマイナス成長(マイナス0.2%)から大きくプラスに転じた要因として、中国(8.1%、前回発表から0.4ポイント増)とインド(11.0%、3.0ポイント増)の経済の力強い回復を挙げた。一方、その他ほとんどの国・地域では、低成長となると予想し、ワクチンの配布もまだ初期段階にあるため、特に観光に大きく異存している国・地域の経済は、今後も脆弱(ぜいじゃく)な状態が続くと予測、アジアの新興国地域の経済成長は一様ではないと予測した。

東南アジアは内需の回復を予測

東南アジアの2021年の成長率は4.4%と前回発表から0.8ポイント引き下げたものの、2020年のマイナス4.0%からは大きく回復すると予測した。ADBは同地域では、ワクチン接種プログラムと拡張的な金融財政政策により、内需の回復が期待されるとした。特にマレーシア(2021年の成長率予測:6.0%)、シンガポール(6.0%)、インドネシア(4.5%)ではその影響が顕在化しつつあると指摘。また、フィリピンではインフラ整備や社会保障への財政出動が経済回復を促進し、2020年にマイナス9.6%と東南アジア地域最低を記録した成長率は4.5%に回復するとした。同地域の中ではブルネイなどとともに2020年に景気後退に陥らなかったベトナムは6.7%と、東南アジア地域で最も高い成長率を予測し、今後数年間で経済がさらに成長すると予測した。一方、タイは新型コロナウイルスの影響で貿易や観光が影響を受けるため、3.0%と緩やかな回復になるとした。

ミャンマーは東南アジア唯一の景気後退予測

2020年の景気後退から回復の基調がみられる東南アジア各国の中で、2021年2月の国軍の権力掌握以降、政治経済の混乱が続くミャンマーは、2021年の成長率はマイナス9.8%と、唯一のマイナス成長を予測した(2021年4月30日記事参照)。

(注)アジア大洋州地域のうち、以下の46カ国・地域

  • 東アジア:香港、モンゴル、中国、韓国、台湾
  • 東南アジア:ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、東ティモール、ベトナム
  • 南アジア:アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ
  • 中央アジア:アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン
  • 大洋州:クック諸島、ミクロネシア、フィジー、キリバス、マーシャル諸島、ナウル、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツ

(三木貴博)

(ASEAN、中国、インド)

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