スイス連邦政府、3段階の緩和戦略を発表

(スイス)

ジュネーブ発

2021年04月22日

スイス連邦参事会(内閣)は4月21日、新型コロナウイルス感染症対策を目的とした規制措置の緩和計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新型コロナウイルスのワクチン接種キャンペーンの進捗状況などを踏まえ、人々の集団免疫が完成し行動制限措置が撤廃されるまでの過程を3つの段階に分けて定めたもので、今後、各州との協議に入る。

第1段階は「保護フェーズ」だ。高齢者などのハイリスクグループでワクチン接種を希望する人全員のワクチン接種が完了すると見込まれる5月末までをめどに、ハイリスクグループのワクチン未接種者を保護する期間として位置付ける。少なくとも、5月26日までは感染の再拡大を防ぐため現行の措置(2021年4月16日記事参照)を継続する。連邦政府は5月12日に感染状況を評価し、次の段階への移行が可能か判断する。判断に当たっては、次の4つの指標を基準とし、感染が拡大傾向にある場合には行動制限措置の再強化を行う。(1)人口10万人当たりの新規感染者数が過去14日間で1日平均450人以下(直近:322人)、(2)過去7日間の平均入院患者数120人以下(58人)、(3)過去15日間平均で集中治療室の病床使用数が300人以下(218人)、(4)実効再生産数1.15以下(1.10)。

第2段階は「安定化フェーズ」で、希望する成人全員に対するワクチン接種が完了するまでの期間とする。今のところ、6月末までに1回目、7月末までに2回目の接種が完了することが想定されている。第2段階への移行は、最速でも5月26日以降となるが、衛生状況が安定していれば、大学での対面授業の再開やテレワーク義務の解除、レストランの屋内営業の再開などの緩和も検討される。さらに、成人人口の40~50%に対するワクチン接種が完了した段階では、ワクチン接種者、陰性検査結果保有者、または新型コロナウイルス感染症からの回復者のみが一部の場所への入場、活動への参加が許可される仕組みがつくられる可能性がある。そのため、連邦参事会は、確認が容易かつ信頼性の高い、統一的な証明書の導入を準備している。

第3段階は「正常化フェーズ」だ。希望する全ての成人のワクチン接種完了後に移行する。この段階で、社会的な行動制限措置は不要となり、店内の人数制限や店舗の閉鎖措置などを徐々に緩和する。再度感染が流行し、医療システムの維持が懸念される状況となった場合には、連邦参事会はあらためてマスク着用の義務付け、人数制限、社会的距離の確保などの感染予防措置を導入するが、対象は前述の証明書を持っていない人に限る。

(和田恭)

(スイス)

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