第1四半期の自動車販売台数、前年同期比2.8%減

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2021年04月15日

ロシアの2021年第1四半期(1~3月)の新車乗用車と小型商用車の販売台数は前年同期比2.8%減の38万7,322台となった。在ロシア欧州ビジネス協会(AEB)が4月6日に発表した。

ブランド別で最も販売台数が多かったのが、地場乗用車最大手アフトワズの「ラダ」で8万3,908台(前年同期比5.4%増、添付資料表参照)。2位は起亜の5万1,624台(0.5%減)、3位は現代の4万122台(3.5%減)だった。

第1四半期に販売を伸ばしたのは、ロシアでの生産を2019年に開始したメルセデス・ベンツ(1万1,406台、10.4%増)と中国ブランドのハバル(6,558台、62.0%増)だ(2021年3月19日記事参照)。そのほかに販売台数の伸び率が顕著なブランドは中国の奇瑞汽車で、前年同期比3.7倍となる6,310台を記録した。同社は2021年の販売目標を前年比2.5倍の3万台に設定し、ディーラー網拡充や新モデル投入を通じて販売力を強化するほか、ロシアでの生産も検討中だ(「フィンマーケット」4月1日)。

今後の市場動向について、専門家からは先行きを不安視する声が目立つ。AEB自動車製造者委員会のトーマス・シュテルツェル委員長は新型コロナウイルス禍によって経済活動制限措置が敷かれた2020年と比較すると、今後数カ月は数字上では改善するとみる一方で、新車販売価格の上昇や廃車税(注)引き上げの動きなどが市場拡大の不安定材料になると指摘する。地場大手投資銀行VTBキャピタルのアナリストであるウラジミル・ベスパロフ氏は通貨ルーブル安やインフレの加速、鋼材価格の高騰、世界的な半導体不足がロシアでの新車販売価格の上昇を招いていると指摘し、2021年通年での価格上昇率は10%を超える可能性があると予測している(「コメルサント」紙3月30日)。

(注)廃車時にかかる経費として、自動車の製造者、輸入者、あるいは購入者が政府に支払う税金。乗用車の現在の基本料金は2万ルーブル(約2万8,000円、1ルーブル=約1.4円)だが、産業商務省は2万5,000ルーブルへの引き上げを計画している(「コメルサント」1月19日)。ロシアでの現地生産車には政府が補助金を支給するため、主に輸入車の販売価格に影響を及ぼす(2018年3月23日記事参照)。リサイクル税ともいう。

(一瀬友太)

(ロシア)

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