3月の自動車生産・輸出・販売、大幅な伸びを記録

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年04月13日

アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)は4月6日、2021年3月の自動車(トラック、バスを除く)の生産台数、輸出台数を発表した。生産台数は前月比97.9%増、前年同月比2.25倍の4万3,160台、輸出台数は前月比48.7%増、前年同月比60.8%増の2万2,394台だった(添付資料図1、図2参照)。単月の生産台数が4万台を超えたのは2018年8月以来、単月の輸出台数が2万台を超えたのは2019年9月以来だ。

ADEFAによると、2021年3月の生産台数が前年同月比で大幅に増加した要因は、稼働日が前年より6日多かったことだ。前年は3月20日に新型コロナウイルス感染拡大による外出禁止令が施行され、それから約60日間、工場の操業は停止した。

輸出は、特にブラジル向け輸出の伸びが顕著だ。1~3月の仕向け地別の累計輸出台数をみると、ブラジル向け、チリ向け、オセアニア向けの伸びが、輸出台数全体を押し上げた(添付資料表参照)。

生産台数、輸出台数ともに回復基調にあることが鮮明だが、ブラジルにおける新型コロナウイルス感染拡大と、それによるアルゼンチンへの自動車部品供給への影響を懸念する見方もある。ブラジルは、完成車の輸出先としても重要だが、アルゼンチンで生産する自動車部品の輸入元としても重要だからだ。

なお、アルゼンチンでも感染が再度拡大している。現時点で、これによる企業活動を制限する措置は導入されていないが、ADEFAは「衛生プロトコルを厳しく順守し、新型コロナウイルスの影響を最小限にする」としている。当面の間、生産、輸出ともに新型コロナの影響を受けそうだ。

3月の自動車の国内販売も好調で、回復基調にある(添付資料図3参照)。アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)は4月1日、3月の自動車国内販売(新車販売登録)台数(トラック・バスを含む)は、前月比19.3%増、前年同月比約2倍の3万5,446台だったと発表した。

ACARAによると、前年同月比の大幅な伸びは、2020年3月が新型コロナウイルス感染拡大により3月19日までしか新車の登録がされなかったこと、2021年に入り為替レートが安定したこと、新型コロナウイルス感染拡大などの先行き不透明感による消費者の買い控えが解消されたことを、主な理由として挙げた。

車種別では、国産車の存在感が増している(添付資料表2参照)。ACARAによると、2021年第1四半期の新車販売に占める国産車の割合が、前年第1四半期の30%から46%に増加した。特に、国産の小型車の伸びが前年同期比3.43倍と著しい。一方、輸入の大型車、高級車の割合が大幅に減少している。価格が一定額を超える自動車の輸入規制が、2021年1月に大幅に強化されたこと(2021年1月15日記事参照)が背景にあるとみられる。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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