電気通信事業法の改正を新たに問題視、2021年外国貿易障壁報告書(韓国編)

(米国、韓国)

米州課

2021年04月09日

米国通商代表部(USTR)が3月31日に発表した2021年版外国貿易障壁報告書(NTE)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、韓国に関する記述は前年から1ページ増え、13ページだった。2020年の米国の対韓貿易赤字は前年比18.5%増の248億ドルとなり、2019年の米国の対韓直接投資は2018年比0.2%増の391億ドルだった。

デジタル貿易および電子商取引(EC)の障壁について、前年と同様、個人情報および地図など空間情報の越境移転などに関して、韓国側の制限措置を問題視したが、電子商取引においては、「電気通信事業法」改正案に関する記述が追加された。同改正案は、モバイルアプリケーション市場に対し、ユーザーが外部の決済サービスを利用できるようにすることを義務付けるものだが、これは米国の標準的なビジネスモデルを脅かすものだ、と指摘している。

改定米韓自由貿易協定(FTA:KORUS)については、韓国はKORUSに基づき、米国の韓国向け工業品輸出のほぼ全てに対する関税を撤廃し、一部の水産物については段階的に関税を撤廃、また、米国の農産品の大部分に対しても関税を撤廃しているが、一部の食品輸出に対する関税割当(TRQ)は維持していると指摘した。

貿易の技術的障壁(TBT)については、今回新たに包装材・表示規制に関する記述が追加された。韓国が「資源リサイクル法」を改定し、包装材や表示方法に係る規定を変更しようとしていることについて、米国は企業のコスト増や製品発売の遅延につながる、と懸念を示した。また、化学製品に関しては、有機化学物質を扱う「韓国産業安全保健法」および「韓国残留性有機汚染物管理法」の改正について新たに言及し、米国企業が十分に準備できるよう、これら改正法の実施状況を監視していくとしている。

知的財産権保護については、2021年1月に議会に提出された著作権法の改正案に関し、米国が著作権法への肖像権の導入、契約の自由に対する制限などを懸念していることを取り上げた。

NTEは、総論編と各国・地域編から成り、総論編は2021年4月2日記事参照

(大塚真子)

(米国、韓国)

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