2020年の電動キックボードの販売台数、前年比34%増の64万台に

(フランス)

パリ発

2021年04月28日

超小型モビリティの業界団体「FP2P」と調査会社の「スマート・モビリティ・ラブ」は4月20日、フランスにおける2020年のパーソナルモビリティ機器(注1)の販売額が前年比7.1%増の2億9,130万ユーロ、販売台数は1.2%増の163万5,000台になったと発表した。また、パーソナルモビリティ機器における電動機器の割合は、2019年の37%から2020年は48%と大きく増伸した。

パーソナルモビリティ機器の主要製品である電動キックボードの販売額は前年比8.3%増の2億660万ユーロ、販売台数では34%増の64万台となった。2020年春の1度目の移動制限措置の影響を受け、2月から4月までの販売額は前年同期比で64%落ち込んだものの、制限が解除された5月以降に大きく盛り返した。

また、販売形態については、新型コロナウイルス感染拡大防止措置により、店舗の閉店を余儀なくされた期間があったが、クリック・アンド・コレクト(注2)による販売が貢献した。超小型モビリティ機器の販売店全体におけるクリック・アンド・コレクトによる販売の割合は、2019年の12%から2020年には18%に拡大し、特に自営の小売店における同販売の割合は、2019年の11%から2020年には24%となり、大きく伸びた。

電動キックボードが市場に登場してわずか数年でここまで市場に浸透したのは、パリ、リヨン、グルノーブル、マルセイユでの、フリーフロート型のシェアリングサービス(注3)の普及が背景にある。また、手頃な価格(人気製品は1台約300ユーロ程度)で手に入るということもあり、電動アシスト自転車と異なり、購入時の政府の補助(2021年4月14日記事参照)がないにもかかわらず、電動アシスト自転車の販売台数を2年連続で上回り、現在、国内の電動キックボードの利用者数は200万人以上といわれている。

FP2Pのファブリス・フルラン会長は「パーソナルモビリティの発展は、修理やリサイクルによる新たな職や雇用の機会を創出し、経済的および環境的観点からも無視できない分野だ」と述べた。2021年も同様の成長が見込まれる一方、「スマート・モビリティ・ラブ」のジャン・アンベール社長は「サプライチェーンの遅れや電子部品の供給が滞る恐れがある」と指摘している。

(注1)1人乗り用に設計されたコンパクトな移動機器で、歩行者と従来の乗り物(自転車、自動二輪車、乗用車など)の間に位置付けられる。

(注2)オンラインで購入、指定日時に商品を引き取る販売形式。

(注3)片道(ワンウェイ)利用が可能で、かつ返却場所が自由に選択できるサービスのこと。

(奥山直子)

(フランス)

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