2020年の自転車市場売上高、前年比25%増で30億ユーロ超に拡大

(フランス)

パリ発

2021年04月14日

自転車業界団体の「スポーツ・自転車連合」は4月8日、フランスにおける2020年の自転車市場(部品・アクセサリーを含む)の売上高は30憶ユーロを超え、前年比25%増と大幅に拡大したと発表した。そのうち、自転車の売上高は19億2,500万ユーロ(27.5%増)、自転車部品・アクセサリーの売上高は10憶9,600万ユーロ(20.8%増)といずれも好調だった。

自転車の販売小売店が、2020年3月17日から5月10日までの1度目の移動制限措置(ロックダウン)の間に閉店を強いられたにもかかわらず、2020年の自転車の販売台数は前年比1.7%増の268万4,800台となった。特に電動アシスト自転車の販売台数は29%増の51万4,672台、販売額は58%増の10億7,000万ユーロとなり、同年の自転車の売り上げ全体の56%を占め、市場を牽引した。自転車市場は2012年から金額ベースで2倍以上に成長している。自転車の平均価格をみると、電動アシスト自転車は2,079ユーロ(前年比21%増)、電動以外の自転車は394ユーロ(6%増)、自転車全体の平均価格は717ユーロ(25%増)となった。

市場の成長に伴い、フランスにおける2020年の自転車の生産台数も前年比40%増の約66万台と大きく伸び、そのうち、電動アシスト自転車の生産は約26万台だった。自転車の輸入台数は4%増の約220万台で、主な輸入先は、ポルトガル(構成比:20%)、ルーマニア(18%)、イタリア(18%)、台湾(9%)、中国(7%)だった。

新型コロナウイルス対策として、公共交通機関の代替手段に自転車を選択する消費者が増えたことや、自転車専用レーンの増設、行政の支援が市場を後押しした。例えば、パリ市は電動アシスト自転車の購入に、400ユーロを上限に税抜き価格の33%を補助している。また、フランス政府は、年間収入が1万3,489ユーロ以下の国内在住の成人に対し、電動アシスト自転車の購入に200ユーロを補助し、2020年5月11日から2021年3月31日までは自転車の修理費用を50ユーロ支援している。

また、自転車の需要の増加に加え、主にアジアからの製品や部品の供給が「新型コロナ禍」により一時滞ったことなどによって、在庫が逼迫し、在庫処分やセールを実施する必要がなかったため、価格が高止まりしたことや、消費者が今までより高品質で高価格帯の高級製品を嗜好(しこう)したことも市場の拡大に寄与した。

「スポーツ・自転車連合」のオリビエ・シュネデール会長は「フランスの自転車保有台数は2,500万台、修理が必要なものも含めると4,000万台になり、毎年約50万台ずつ増加している。国の修理支援により、2020年5月~2021年3月に190万台の修理が行われ、1,500人の修理業者の雇用を創出し、自転車市場全体を鼓舞した」と述べた。

(奥山直子)

(フランス)

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